──ああ…やられたかぁ……
金曜の夜に義勇を見失ったあと、放っておいても大丈夫だから飲みを続けようと高を括って主張する不死川に、ここで何かあっても自己責任だからな?とさんざん念押しをしながらも、宇髄はこっそり心当たりにLineで義勇の行方について尋ねまくった。
共通の知り合いはそう多くはない。
システム部で義勇と一緒に仕事をしたことのある数名と、あとは自分を介してたまに一緒に食事をしていた錆兎、それにさらに錆兎を介してそこに加わる杏寿郎くらいだ。
義勇に確認したいことがあるんだが連絡がつかない。
居場所を知らないか?と言う宇随の問いに、同じ部の同僚3人は、
──冨岡の居場所は知らないが、仕事の事なら自分達でわかることなら答えるぞ?
と、即返してきてくれた。
それには丁寧に礼を言いつつ、プライベートのことだからと断りをいれる。
一方で錆兎と杏寿郎に関しては、杏寿郎から
──知らんな。申し訳ない。今うちの部は打ち上げ中だからこれ以上なにかあるならあとでいいか?
と返事が返ってきた。
あの二人は幼馴染なだけではなく部も同じなので、同じ用件を両方に送ればどちらかが返してくるのは珍しいことではない。
部の打ち上げということは普通に考えれば錆兎も参加しているはずだし、今回は杏寿郎が返してきたのだろう。
そう思うものの、今回宇随が心配しているのは義勇が錆兎の方と一緒に居られることなので、
──営業企画部の打ち上げと聞いたんだが、錆兎も一緒に居るのか?
とさらに送ってみたが、既読がつかない。
ここでやり取りをしているのが錆兎の方なら相手から了承の返事が来るまでやりとりを続けてくれるが、杏寿郎の場合は断りを入れた時点で用件は終了とみなしてスマホを放り投げている可能性も多々ある。
今のこの反応は彼の性格を考えてもおかしなことではない。
それでも悪くはない自分の勘がなんだか嫌な予感がすると告げてくる。
なので宇髄は錆兎の方にも再度連絡を入れたが既読もつかない。
律儀な男なので一人の時なら秒で返答が来るが、飲み会や誰かと一緒の時には通知を切ることがしばしばあるので、絶対におかしいとは言えないのだが……
仕方なしにLineは諦めて電話を入れてみる。
…出ない。
これは…まさか…な?
いくらなんでもあの流れで人見知りの義勇が数回みんなで一緒に食事をしただけの錆兎に告白に行くとは考えにくい。
錆兎の方だって面倒見のいい男ではあるので事情を知っていれば声をかけるくらいはするかもしれないが、皆で残業後に仕事の打ち上げに行くという状況で、いきなり義勇の事情を知る機会などないだろう。
返答がないのは皆で盛り上がっている時にすでに杏寿郎が返事をした案件を自分が答える必要はないだろうとスマホを置いているか見ていないかという方が自然だと宇髄自身も思う。
思うのだが、なぜかぞわぞわと嫌な感じが消えない。
とにかくその夜は何度か錆兎に連絡を入れてみたのだが返答がなく、どうやらスマホを見ていない可能性も高いということで、翌日、昨日、あとでいいか?と聞いてきた杏寿郎なら答えてもらえるかと思って電話をかけてみた。
──あ~、煉獄、たびたび悪いんだが錆兎のことなんだが…
と相手が出た瞬間、挨拶もそこそこに宇髄がそう切り出すと、杏寿郎の方も宇髄の言葉をさえぎって
「ああ。すまないな。あれからもLineをもらっていたんだな。今気づいた。
で、錆兎と一緒かという質問だが、今、弟の新しい靴を買いに来ているから、錆兎とは一緒ではない。
これから電車に乗るから切るぞ」
そういうと、昨日の飲み会で一緒だったかを聞きたかったのに、今現在の状況だけを言って切ってしまった。
杏寿郎も非常にまじめな男なので、電車に乗ったらもう絶対に電話にはでてもらえない。
宇髄は切れたスマホを前に大きく息を吐きだした。
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