ペナルティらぶVer.SBG_6_棚からぼた餅

正直…自分でもずるいなという気はする。
でも日本では古来から棚からぼた餅という言葉もあることだし、まあいいか、と開き直ることにした。

罰ゲームだろうとなんだろうと、告白は告白だ。
なかったことにはならないししない。

義勇はというと、宇髄達と飲んでいた酒がまだ若干残っているのだろう。
ぽやぁっとした、やや舌足らずな話し方で、それがとても可愛いと思う。

そしてそんな子どものような口調で、
自分は告白して錆兎はそれを受け入れた。
で?これからどうしたらいい?
と聞かれた。

その言葉に錆兎は、棚から落ちてきたぼた餅をありがたく受け取ることにして、とりあえず付き合うということで良いんじゃないか、それにあたって互いに名前呼びをしようと提案した。

その提案を義勇はすごく嬉しそうな笑みを浮かべて了承する。
もちろん錆兎だって嬉しくて、その気持ちをそのままに満面の笑みで返した。

それからは楽しく呑みに移行する。

悪酔いをさせないように良い酒を取りそろえた上で、適度につまみを勧めながら呑んでいたのだが、義勇はあまり酒に強くないらしい。

元々宇髄達と呑んだあとに来たというのもあったのだろうが、2時間もしないうちに幸せそうな顔で眠ってしまったので、布団を敷いて寝かせてやって、錆兎はその寝顔を肴にもう少し呑んでいた。



翌朝は休日ではあったが義勇が万がいち二日酔いにでもなっていたらと、それに良いと言われているしじみのみそ汁やトマトジュースを用意しつつ朝食を作ってみたが、幸いにして酒があとに残ることはなかったらしい。

ただ、酔いつぶれてしまったことに焦ったように謝罪してきた。

それに対して、
──恋人だったら別に問題ないだろう?
と言ってやると、今度は別の意味で動揺する様子がちょっと面白くも可愛らしい。


「うろ…じゃなくて…錆兎はそれでいいのか?」
と食事どきに改めて聞いてくるので、錆兎も改めて
「ああ、それで、じゃなくて、それがいい…だな。
とりあえず食事が済んでシャワーを浴びてすっきりしたら、店が開く時間を待って指輪を買いに行くぞ」
と、肯定したうえで次の予定を促す。

「ゆ、ゆびわっ?!!」
「ああ。嘘だのなんだのあれこれ言われるのは嫌じゃないか?
ステディリングまで買ってつければさすがに疑われないと思う。
それで告白して告白を受けて付き合うようになったということをわかりやすく立証できるだろう?」

もちろん錆兎も昨日ので本当に恋人になれると思うほど浅はかではないので、勝負はここからである。
とにかく一緒に居ることを正当化したうえで、気持ちを向けてもらえるよう努力をしていくつもりだ。

それにはまず、一過性ではなく付き合いが続くのだという形式を作らなければならない。

実は昨日の夜遅くからずっと、宇髄から電話やLineがきていた。
おそらく義勇がここにいるのでは?という可能性も考えたのだろう。

だが押しかけて来ていないということは、錆兎の部は昨夜は会議で残業で、おそらくはそのあと飲み会になっているだろうから可能性はあるが高くはない、という判断をしているのだと思われる。

だが来ていると知れば押しかけて妨害くらいはしてくるだろう。
だからきっちりと付き合っているのだと形にできるまでは宇髄との接触は極力避けたい。
そのためにはかなり性急ではあるが揃いの指輪を買ってつけるのが一番だと思う。

なので次に嫌でも宇髄と顔を合わせてしまう明後日の月曜日の出社までに指輪を買って二人で身に着けるのが最初のミッションだ。

幸いにして義勇はもともとおっとりしているのかこちらの提案にすべて流されてくれるので、とにかく宝飾店にGO!である。


来客の多い家なので下着類は常に新品を用意しているのでシャワーを浴びさせて服だけ錆兎のを貸したのだが、体の厚さやら肩幅やらがかなり違うのだろうか。
どこかぶかぶかなところが、可愛すぎて変な声が出そうになった。

そうして昨日の義勇の話を思い出して、
(こんな可愛いのを殴れるって、不死川は頭おかしいんじゃないだろうか…)
という考えが頭をよぎる。


とにかくシャワーを浴びて着替えたあたりで宇髄にみつからないよう車で少し離れた普段行かない街まで足を伸ばして、諦めていたはずなのに無意識に集めていた義勇の情報を脳内で整理しながら高級過ぎない…しかしカジュアル過ぎない、少し若いカップル──錆兎達もまだ若いと言えば若いのだが──で賑わうような宝飾店へ。

そこで買ったのはたまたまあった様々な種類の小さな石の入ったシリーズの中で互いの瞳の色に合わせてサファイアとアメジストの指輪だ。
もちろん身に着けるのは互いに相手の瞳の色の石の入った物である。

幼い頃から年の離れた姉に強く影響を受けたという義勇は少し少女趣味なところがあるらしい。
がっつりと昔の男である祖父に育てられてその影響を受けた錆兎からすると少しばかり気恥ずかしいこの提案も、恥ずかしがるどころかむしろ嬉しそうな顔で、指輪を付けた右手を何度もかざして眺めている。

そんな義勇の様子を見れば己の気恥ずかしさなど二の次で、錆兎も笑顔になるしかない。







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