ファンタスティックタイム_4_質問コーナー2

まだまだ続く質問コーナー

──一目惚れをしたことはありますか?あるなら相手はどんな人?

そんなことをアイドルに聞いていいのか?と思うが、この普通なら答えにくい質問にもきっぱりと答える義勇。

「ありますっ。相手は錆兎」
と、彼らしい答えに
「いや…それを一目惚れと言うのか?」
と呆れ声で突っ込む錆兎。
その錆兎の反応に義勇は心外っ!という顔をしてみせる。

そして、
「だって生まれてすぐ、一日も経っていないからまさに一目惚れだろう?
生まれたその日に泣き叫んでいたら錆兎の母さんが錆兎を横に寝かせてくれたら泣き止んで、それ以来、錆兎がいないと泣くようになったんだから。
周りの事情とかを考えず感情だけを主張する赤ん坊時代に俺が望んだのは錆兎が傍にいることだけだったんだ。
これを一目惚れと言わず何というんだ」
…と、これも普段は無口な義勇にしては雄弁に語った。

これだから二人はデキているとか一部のそういう趣味の女子に言われるんだぞ…と、そんな錆兎に関することだけは熱く語る義勇にため息をつきながらも、

「ああ、はいはい。そうだな、一目惚れだな。
じゃ、俺も相手は義勇で。
母親曰く、どうやら義勇が語った生まれた初日に、義勇の隣に寝かされた俺は『こいつは俺が守ってやらねばっ』みたいなキリリとした顔をしていたらしいから」
と、自分も話を合わせてくる。
そんなところがが二人同じではないがどこまでも共に…の幼馴染ユニット水柱なのであった。


そうしてまだまだ続く質問。

──もう一人の自分が現れたら仲良くなれると思いますか?

「なれると思う。
たぶん能力が同じなら一緒に筋トレしたり剣道の練習したりとか、切磋琢磨できて楽しいかもな」
と、これは錆兎が即答える。

義勇は錆兎の答えの状況を想像したのだろう。
「もう一人と言わず、世界が錆兎で溢れたら幸せだな」
と、ムフフと笑うが、錆兎がそこで
「お前は本当に俺のこと大好きだよな。
でも質問は自分がもう一人…だから、お前が答えるべきなのは俺がもう一人…の場合じゃなくて、お前がもう一人いた場合についてだぞ」
と、呆れ顔で突っ込みをいれた。

すると義勇は心底嫌そうに
「それは嫌だっ。絶対に嫌だっ」
と答える。

「何故?」
「だってもう一人の俺だったらきっと錆兎の事が大好きだから。
絶対に取り合いになるっ」

まあ、リスナー達にしてみれば想像通りの答えだ。

「それなら…そうだな、俺がもう一人いればいいだろう?」
と、錆兎が言うも、モブ子を始めとするリスナー達は
──甘いなっ!
と、揃ってドヤ顔をする。

そして彼女たちの想像通り、義勇は
「ダメだっ!何人錆兎がいても錆兎は全て余すことなく俺の錆兎だっ」
と、頬を膨らませるのだった。

そういうことに関しては、ファンのお嬢さん達は本人よりも水柱のことをわかっている。

なので後日…この回のこの質問についてリアルで学校で村田が
「あのさ、錆兎の方は自分がもう一人いたら義勇を取られて嫌だなとか思わないの?」
と素朴な疑問を口にした時にも
「あんた、何年錆兎君と一緒にいるのよ。
錆兎君が二人いたら、二人で相談して分担してより細やかに義勇君を甘やかすだけに決まってるでしょ」
と答えたのはやっぱり錆兎本人ではなくドヤ顔をしたモブ子だったのであった。


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