ファンタスティックタイム_3_質問コーナー

ご相談のコーナーを満喫したあとに流れる
──質問です
のナレーションの声。

これはユニット水柱のどちらの声でもないナレーターの声で淡々と質問が流されて行く。


──好きな動物は?
と、『質問です』の言葉のあとにいきなり前置きもなく流れる質問内容。

「「ん~……キツネ?」」
と、答えがハモる二人。

マイクの前で二人して互いに視線を向けて苦笑しながら少し小首を傾けているのが目に浮かぶようだ。
まあ元々は錆兎の実姉の真菰がキツネグッズコレクターだったので、それが影響しているらしく、二人のキツネ好きはファンの間では有名な話だ。
なので、愚問だな、と、リスナーたちは思いながらも、それに答えるスタジオの二人の様子を想像してにんまりとする。

続いての質問…
──好きな科目は?

「数学」
と、珍しく先に即答する義勇。
それに対して錆兎はこちらも珍しく少し悩んでいる。

「たくさんあるんだよな…体育も好きだし、座学だと……日本史…B?
ちなみにAは近代史でBはそれ以前」
他にも好きな教科はたくさんあるけど…と言いつつ、錆兎はそう答えた。

「わかる。錆兎は全部の教科が出来るから。
好きじゃないとあそこまで出来ないよな」
「いや…あまり好きでない教科でも勉強はしているから出来るんだが…。
でも義勇も割と嫌いな教科もやっているよな」

「うん。やってはいる。
錆兎と同じ学校の同じ学部に行きたいから頑張らないと…。
でも嫌いな…というより、苦手な教科は錆兎みたいには出来ない。
数学は手順通りに解けば絶対に出来るから好きだ。
でもこの前の現国のテストとか…その時のサンショウウオの気持ちとか聞かれてもサンショウウオになったことはないから本当にわからない」

「…いや、それは人間の書いた物だから本当にサンショウウオがどう思うかじゃなく、作者がどう思うかを書くのが正しい。
サンショウウオになりきるなんて俺だって無理だ」
真面目で不器用な義勇のそんな言葉にモブ子を始めとするファンのお嬢様達はほっこり。

錆兎も真面目は真面目だが、義勇よりはかなり他者とコミュニケーションを取れる人間でわからない所は即教師に聞きに行くので、わからなかったものも最終的に理解できるのだ。

つい先日に定期考査で評定平均と学年順位が出て、モブ子は仲良しの村田や錆兎や義勇とそれぞれ成績を見せ合ったのだが、錆兎は恐ろしいことに評定平均5.0…つまりオール5で360人中トップだった。

義勇は現国が不得意で3で他にちらほら4があるものの4.45で34位。
村田はなんのかんので真面目でそつなく色々をこなす男な上に試験前になると錆兎や義勇に引きずられて勉強に励むことになるために4.69で9位だったりする。

そしてモブ子は義勇がどんな進路を選んでも付いていけるように日々必死に勉強をしているので、5に4混じりで4.62で15位だ。
そう、何もかも平均の人生だったモブ子も推しのためなら頑張れてしまうのである。

朱に交われば赤くなる。
それは本当に正しい言葉で、主に学生の本文は勉学であるという強い信念のもと、友人達も巻き込んで勉強会を繰り広げる錆兎に釣られて、おそらく普通であれば平々凡々の人生を歩むはずだった村田とモブ子は一気に優等生に押し上げられたのだった。

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