ネットは意外に怖いらしい
翌日…いつものようにアクセスすると、街の広場でサビトが待ってた。
見上げて聞く私にサビトは
『ユートと姫を待て』
とだけ言って視線を広場の噴水の向こう、雑談をしてるらしい二人のウォリアに向けている。
私も暇だったのでなんとなく二人の会話に耳を傾けた。
男のウォリア、ゴッドセイバーがほぼ一方的に話してるっぽい。
「俺さぁ、今レベルトップだしー、ミッションもちょーやってるしー。
でもゲームだけじゃないしー。
リアルもマジパネェつーかー、俺、鈴木大輔って都立S高の2年なんだけどー、ちょー背高いしー、ちょーイケメンだしー…」
延々と続く自慢話。
聞かされてるイヴって子も大変だなぁ…と思わず私も同情する。
あ、でもそう言えばオンラインゲームって一緒にいる相手も機械じゃなくて自分と同じようにキャラを操ってる人間なんだよねっ。
今更のように気付いて、ふと隣が気になった。
サビトもユートもギユウちゃんも…本当にどこかに実在する高校生なんだ…。
リアルだとどんな子なんだろ~。
「ねえ、サビト…」
『…ん?』
「サビトもさ…高校生…なんだよね?」
『ああ。このイベントの参加者全員そうだって主催言ってたしな』
「サビトはさ、どんな感じなの?リアル。私はね…」
『ストップ!!黙っとけ、馬鹿!!』
私の言葉をサビトはいきなり怒ったような強い口調でさえぎった。
「な…なによ…嫌なら無理に聞き出そうとまでは思ってないよ。
でも私の事話すくらいはいいじゃない。
別に変な意味じゃないもん!」
変に誤解与えたかなという気恥ずかしさも手伝って思わず言い返す私に、サビトはため息をついてそういうんじゃないと少し落ち着いた口調で話し始めた。
『ネット上だと相手も嘘つけるからな。下手に自分の個人情報漏らすと悪用されるぞ。
俺は自己申告がない限りキャラの性別イコールリアル性別として考えとく事にしてるから、お前も一応女だって仮定して話するけどな、男でもやばいけど女は絶対にやばい。
実際騙されて呼び出されて乱暴されたりとか、ストーカーされたりとか結構あるんだからな。
女は特に気をつけろよ。絶対に下手に相手を信用すんな。
ましてや誰が聞いてるともわかんない通常会話でリアル明かすなんて史上最悪の大馬鹿野郎だぞ』
そんな事あるんだ……。
『ん…わかった。気をつける』
『わかればよし』
また上から目線で物言うサビト。
いちいちカチンとくるような言い方をするけど、言ってる事が随分大人びててしっかりしてるよな~サビトは。
ホントに私達と同じ高校生なのかな……。
そうこうしてるうちにユートとギユウちゃんがインしてきて、念のためとサビトが私に言ったのと同じような注意をうながしていた。
二人が同じ様にその話にうなづくと、サビトは街の外へ続く門とは反対側、商店街の方へと足を向ける。
『サビト~、そっち反対。外は向こうだよ』
と一応注意すると、サビトは足を止めず
『反対じゃない。こっちで正解。お前ら初期装備で俺についてくるつもりか、装備買え』
と言って防具屋さんに入っていく。
『お金…ないんだけど…』
『今回はしかたないから買ってやる。紙装備でうろちょろされても迷惑だからな。
これからはちゃんと金策もしろよ』
相変わらず…俺様口調なんだけど、やっぱり異様に良い奴だ。
結局自力でレベル相応の装備を揃えてたユートは別として、金策も装備もぜんっぜん知らなかった私とギユウちゃんはサビトにレベルに見合った新しい装備を買ってもらった。
なんていうか…言う事やる事、保護者というか…親みたいだなぁ、サビトって。
そんな感じで、最後に入ったのになんとなくサビト主導で、サビトがリーダーのパーティーって感じになってきた。
まあいいんだけどね。楽だしさ。
パーティーは楽しい (4日目~6日目)
俺様親分サビト、おっとりお姫様ギユウちゃん、それに温和で優しいけどしっかり者のユート。
3人の仲間ができてさらにゲームが楽しくなった。
サビトとユートはかなりゲームに詳しくて、特に出会った時にすでに私達の倍のレベルだったサビトはこのゲームに関してもある程度詳しくなっていたから、一人の時より全然色々わかってきた。
ただペシペシ敵を叩くだけじゃ駄目なのね。
何に使うかわかんなくてポイ捨てしてたアイテムとかも雑貨屋さんに持って行けばお金に替えてくれるし、雑貨屋さんで二束三文のアイテムでも、合成屋さんに持って行けば合成してくれてすごぃ装備やアイテムに生まれ変わったりもするんだ。
レベル上げるだけでも少しずつ強くはなっていくんだけど、そうやって貯めたお金で武器や防具を買えば、全然強さも変わってくる。
私達はあれからいつも一緒で、同じ時間に同じ場所で待ち合わせて行動する仲間になっていて、アイテムなんかはお互い必要な物を融通しあったりとか協力するようになっていた。
戦闘の時の役割なんかも決まっていて、まずユートが能力アップの魔法をかけて、私がブーメランで敵を一匹安全地帯までひっぱってくる。
それをサビトが圧倒的な火力で殴ると敵はサビトに向かっていくから、そこでユートと短剣に持ち替えた私も殴りに参加。ギユウちゃんはHPや毒とかを回復するって感じ。
一人でやるより全然面白くて、レベルとか上がるのも全然早い。
サビトに教えてもらって最初のミッションも終わらせたから、指定した口座には主催から10万円が振り込まれた。
私達だけじゃなくて他の参加者もボチボチ仲間を見つけてパーティーを組んでるみたいで、例のイヴちゃんはゴッドセイバーだけじゃなくて、もう一人ショウって名前の男のベルセルクも引き連れて、女王様状態みたい。
男二人が競う様にイヴちゃんに膝まづいて何か言ったり渡したりしてるの見るとちょっと笑えるってか、面白い。
今も3人が私達の近くでレベル上げしてたんだけど、まったり立っているイヴちゃんの所までショウが敵を連れてくると、ゴッドセイバーがいきなり無言でダっとどこかに駆け出して行った。
それをスルーで二人はそのまま敵を叩いている。
「イヴ~!」
やがてゴッドセイバーが戻って来た………でかい巨人を連れて…。
「俺の敵の方がでけえしー、やっぱ俺マジやばくねっ?」
えっと…あなた別の意味でやばくない?HP真っ赤なんですが?
てか…倒せるんですか?それ……
『脳みそに何かわいてるな……』
サビトが私達が対峙していた眼前の敵を叩き伏せて、チラリとそちらに目をやってつぶやく。
『まあ…とばっちり来ない程度に距離取っておこうか…』
ユートも苦笑しながらみんなのHPを回復し終わって自分のMP回復のために座ってるギユウちゃんを少し離れた岩陰にうながした。
私は敵の感知範囲外からそちらの様子を伺うサビトの横に立ってやっぱりそちらに目を向ける。
私達より少し遅れてゴッドセイバーの連れて来たモノに気付いたイヴちゃんとショウ。
まず叫んだのはイヴちゃんだ。
「ちょ、ちょっと信じらんないっ!何連れて来てんのよっ、あんたっ!!」
「一番強そうなの連れて来たしー。俺すごくねっ?」
「すごいわよっ!もう信じらんないくらいすごい馬鹿っ!!
倒せない敵連れて来てどうすんのよっ!!」
イヴちゃんの言葉にゴッドセイバーはポカンと立ちすくんだ。
「え~!マジっ?!ありえなくねっ?!」
「ありえないのはあんたよっ!
それ連れて向こう行って死んどいてよっバカっ!こっち連れて来ないでっ!!」
「まじすかっ!!」
『ほんと……ありえんな……』
あちらのドタバタを遠目で見ながら呆れた息をつくサビト。
しかしサビトはそのまま後ろを振り返りユートに声をかけた。
『ユート。能力アップ一通りかけといてくれ』
その言葉にギユウちゃんの隣でやっぱりMPを回復してたユートが立ち上がってかけよってくる。
『なに?助けるん?』
そのままサビトの隣で魔法をかけ始めるユート。
『ん~、義を見てせざるは勇なきなりって言うからな。
でも倒せるかわからんからお前らは離れてろ』
言ってサビトはスラっと背中に背負った大剣を抜いた。
私達の側でそんなやりとりが繰り広げられてる間にも、イヴちゃん達は修羅場を繰り広げてる。
「きゃあぁっ!ちょっと、どうすんのよ、これっ!」
悲鳴を上げるイヴちゃんの前に
「まかせろっ!」
と、立ちはだかるゴッドセイバー。
「暗黒に染まりし神の使徒、このゴッドセイバーの虚空より現れいでる刃の煌めき!
受けるがいいっ!!
ナイトメアスーパーメテオインパクト!!!」
そのまま巨人に特攻………スカっとかわされた。
「ムッ!貴様、やるなっ!!」
巨人の周りをそのままグルグル逃げ回りながら叫ぶゴッドセイバー。
呆れるイヴちゃんとショウ…。
「イヴ…この隙に離れようぜ」
もっともな提案だ。
うなづいてイヴちゃんはショウと共にジリジリと後ろに下がって距離を取り始める。
「ク、クソッ!お前は俺を怒らせた~!
黒き業火がごとき俺の怒りを受けてみよっ!
今燃え上がる漆黒の必殺技!ファイナルゴッドライトニングスラッシュ!!!」
………スカッ。
…だめだ、こりゃ。
残りHP…たぶん10以下?そろそろ死ぬかなぁ……。
またグルグル巨人の周りを回っているゴッドセイバーに、巨人が手に持った斧を容赦なく振り下ろしかけた時、青白く光る大剣が巨人の胴を斬りつけた。
「ん、一応当たるには当たるか……」
静かにつぶやくサビトに、巨人の攻撃が向かう。
しかしその攻撃はスカっと外れ、また巨人に斬りつけるサビト。
それに気付いてゴッドセイバーはようやく逃げ回るのをやめ、巨人相手にスカスカと素振りを始める。
そしてサビトはそのまま何度か攻撃を受けてHPを半分くらい減らしつつも巨人を倒した。
ズドン!と音をたてて倒れたあと、ス~っと地面に巨人が消えて行くのを確認すると、そのまま無言で大剣をまた背に担いでこちらに戻ろうとするサビトの背中に、ゴッドセイバーが
「待て!」
と、声をかける。
「俺は暗黒神の使徒、黒い稲妻ゴッドセイバーだ。
共に強敵を倒した盟友のお前の名前を聞きたい」
サビトは一瞬無言で立ち止まる。そしてため息。
「…キャラ名…頭の上に出てるだろ。見えないのか」
それだけ言ってまた歩き始めるサビト。
まあ…そうなんだよね……。
そもそもゴッドセイバーの攻撃一発も当たってないから”共に”倒してないし…
「サビト君すごいねっ♪マジかっこ良かった♪」
巨人が倒れて安全なのを確認してイヴちゃんが戻ってくる。
「今度リアルで会わない?携帯教えてっ?」
ピタっと寄り添いかけるイヴちゃんからスっと距離を取るサビト。
彼女の言葉にゴッドセイバーが口をはさむ。
「俺のダチだしー、3人で会わね?」
「何よ?サビト君のリアフレなの?GS」
「いや、今ダチになったしー」
「なってないっ!」
サビトがイラっと言う。
「じゃ、あんたは要らない、GS」
イヴちゃん……きつ~。
そんなゴッドセイバーとは対照的に、イヴちゃんのもう一人の仲間ショウは
「サビトがすごいわけじゃないよ、イヴ。向こうにはエンチャがいるから。
能力アップの魔法かけてるから同じくらいのレベルでも強いように見えるだけだって」
と、つめよる。
一方そんな敵対心ビシバシに言うショウの言葉にもサビトの方は極々冷静に
「ま、そういうことだ」
と肩をすくめると、それ以上色々言われるのはごめんとばかりにちゃっちゃと私達の方にかけ戻って来た。
『悪い。待たせたな』
私達に言うサビトのはるか後方では
「もうっ!サビト君行っちゃったじゃないっ!
GSもショウもエンジェルウィング一つ取ってこれないくせにっ」
と、イヴちゃんが怒ってて、二人が必死にご機嫌を取っている。
ホント女王様なんだね~イヴちゃん。
色々なパーティーがあるもんだ、うん。面白いっ。
そしてそのままお互いレベル上げに戻った。
が、数分後…
(アオイちゃんて…寄生だよねぇ…)
それは突然届いたイヴちゃんのウィス。
はい?いきなりなんでしょう??
私達は例によってレベル上げをしているわけで…私は敵を釣ってくるのに忙しかった。
もちろん即答どころか、深く意味を考える暇もない。
ただ、やっぱり近くでレベル上げをしているらしいイヴちゃんのパーティーにチラリとだけ目を向ける。
イヴちゃんもこちらをチラリと見るが、通常会話では無言。
(サビト君とかレベル高いしジョブも強いし、ユート君は底上げ能力とかあるけど、レベル低いシーフって何も貢献できないよねぇ…)
敵を釣ってパーティーの所まで殴られない様に必死に走ってる私は当然その言葉にも応える余裕がない。
なんか…モヤモヤ…。
そのまま敵連れて仲間の所に戻ると、サビトがいつものように敵を引き受けてくれて、ようやく思考が働きだす。
貢献度低いって言えば確かにそうかもしれないけど…何が言いたいんだろう。
なんだかすごく嫌な気分になってきた。心臓がバクバクして、なんだか泣きそうだ。
だから何?どう答えてほしいわけ?私にどうしろと?
もちろんそんな私には気付かず、いつものようにユートが能力アップの魔法をかけて、サビトが殴っている。
(サビト君とかレベル倍なわけだし、レベル低い上に弱いアタッカーが一緒じゃなければもっとレベル高い敵狙えて経験値もいっぱい入るよね)
はいはい、そうでございますね。でもそれは私じゃなくてサビトに言ってよ。
チクチクとしたウィスに涙目な私。
言い返したいけど言い返せない。
自然と無言になるしかない私に飽きたのか、そのうちウィスがやむ。
そんな時唐突に…
「えと、でもサビトさんもたぶん一人で強い敵と戦うより、みんなで遊んでる方が楽しいんだと思います♪」
本当に唐突なギユウちゃんの言葉…。
「ふざける?えと…私最近喜ぶの動作は覚えたんですっ♪ふざけるはまだ覚えてません。
だからまだできないからやってません。
そんな動作あったんですねぇ。今度やり方教えて下さいねっ♪」
謎の独り言が通常会話で流れて行く。
「え??えっと……ウィスって??」
もしかして……と思ってチラリとまた隣のパーティーを見ると、イヴちゃんがハラハラとこちらを見てる……。
「うわぁ♪そんなの初めて知りました♪イヴさんて物知りなんですねっo(^-^)o」
「姫……もしかして…嫌がらせのウィスでもきてるのか…」
コウが敵の最後のHPを削った後、クルリとギユウちゃんを振り返った。
そのコウの言葉に
「あ、あたしはっ…」
とあわてて駆け寄りかけるイヴちゃん。
ディスプレイ上なのになんとなくサビトの怒りがフツフツと燃え上がっていくのを感じた。
「ぜんっぜん♪お話してただけです♪
イヴさんとってもとっても物知りで、色々教えてくれましたっ(^-^」
なんとなく一触即発な空気の中で、ギユウちゃんはノホホ~ンと返す。
『なんだか…どんなウィスがきてたのか想像付く気はするんだけど…(^^;』
ユートが苦笑した。
その後全員無言。それぞれウィス中ぽい。
「サビトさん♪今ね、イヴちゃんにウィスって話し方教えてもらったんです♪
やってみていい?(^-^」
そんな中でギユウちゃんは一人相変わらず通常会話で話続ける。
『今取り込み中だから待て』
と言うサビト。
やっぱりウィス中だね。
そのサビトの返事にギユウちゃんはキョロキョロとあたりを見回し、私に目を止め、じ~っと見つめた。
『私はいいよ、試してみても(^^ 』
と、私が察して言うと、ギユウちゃんは
「ありがとうっ♪o(^-^)o」
と喜ぶ動作をして、ウィスを送って来た。
(もしも~し、アオイちゃん、聞こえてますか~♪(^-^))
(はいはい、聞こえてますよ~(^^ )
私が答えると、嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねるギユウちゃん。
まあ良い機会だし、私はこっそりギユウちゃんにウィスで聞いてみる事にした。
(ギユウちゃん、イヴちゃんからどんなウィスもらったの?良かったら原文のまま教えて?)
ギユウちゃんフィルターがかかったら絶対に本当の事なんてわからない。
(はい、あのねっ)
ギユウちゃんが原文のままのウィスを送って来てくれた。
以下原文…()内はイヴちゃんのウィスで「」内はギユウちゃんの通常会話…
*****
(ギユウちゃん、レベル低いあなた達が一緒にいるとサビト君に迷惑だと思わない?
彼レベル高いし、もっと強い敵と戦えるわけだし…(^^;)
「えと…でも~サビトさんもたぶん一人で強い敵と戦うより、みんなで遊んでる方が楽しいんだと思います♪」
(ちょ、ちょっとふざけてるの?!あんた何で通常会話で返事してるわけ??!!)
「ふざける?えと…私最近喜ぶの動作は覚えたんですっ♪ふざけるはまだ覚えてません。
だからまだできないからやってません。
そんな動作あったんですねぇ。今度やり方教えて下さいねっ♪」
(何?何言ってんの??ふざけんなよ!ウィスあるでしょ??まさか知らないとか言わないでしょ?)
「え??えっと……ウィスって??」
(チャットウィンドウにカーソル合わせてCtrl+スペースでチャットモード変えられるじゃんっ)
「うわぁ♪そんなの初めて知りました♪イヴさんて物知りなんですねっo(^-^)o」
*****
………すごいな…日本語通じてないよ……。
これ……わざと……じゃないとこがすごい……。
私はため息をついた。
それを見て今度はユートからウィス。
(もしかして…アオイの所にもウィスきてたの?大丈夫?)
(えっと…今のため息はギユウちゃんのウィスに対してなんだけど…
私の所にもってことはユートの所にも来てたの?)
(いや、俺の所には全然。でもアオイの所にはきてたんだ…。
大丈夫?ひどい事とか言われた?)
心配してくれるユートに本当の事を言っていいものか私は少し迷った。
しばらく無言になる私にユートはさらに言う。
(えと…、言ってくれれば俺の所でとどめておくから。
サビトまで行くと大変な事に…(^^;)
確かに…すでに頭から湯気出して苦情言ってそうだし…。
私はユートに自分の所にきたウィス、そしてギユウちゃんから教えてもらった彼女の所に来たウィスを原文のまま送った。
これでサビトに聞かれてもユートがたぶん上手くごまかしてくれるんだろうな。
全部送り終えたあと、ユートからまたウィスがきた。
(えと…ね、アオイ気にしない方がいいよ。姫みたいに流しちゃいなよ。
まあ…姫は意識してとかじゃなくて、文字通り頭の中を流れて行ってるだけみたいだけど…(^^;
姫の言う通りサビトは効率追求するより今のパーティでやるのが楽しいんだと思うからさ)
そうかもしれないけど……でもさ…やっぱり気にはなるよね……確かに役立たずだし……
『ごめんな…姫。ちゃんと苦情は言ったから』
私が鬱々としていると、どうやらイヴちゃんとウィスを終えたらしきサビトがそう言ってギユウちゃんの頭をなでた。
「??なんでサビトさんが謝るの??」
『いや…たぶん俺のせいだから』
「サビトさん、忙しいのはしかたないですよ?
大丈夫♪アオイちゃんがつきあってくれたからっ(^^」
『なに?アオイと一緒にウィス入れてたのか?そっか。自分で言えるなら良かったけど』
………
………
………
(たぶん…言ってる事全然かみ合ってないね)
イヴちゃんのウィスの話をしているサビトと、どうやらウィスを試させてくれと言った時に忙しいと言われた事に対しての謝罪だと思ってるギユウちゃん。
まあ…ギユウちゃんの方はイヴちゃんに嫌みを言われてたという自覚ないからちぐはぐなわけで…。
それでもなんだか微妙に誤解しつつお互い納得してる二人を見て、ユートが私の横でコッソリとウィスを送って来つつクスクス笑った。
釣られて思わず私も笑う。
(今回はね、たぶんイヴがサビト欲しくなっちゃっただけでアオイがどうのとかじゃないよ、話聞いてると。
ま、長くやってると色々あるよ。でもさ、仲間内では楽しくやろう。
アオイも他に言いにくい事とかあったら俺に言ってね?
必要な事なら俺が他に伝えるし、愚痴なら俺の所でとめとくから(^^)
そう…なのかもね。
ユートの言葉で少し気が楽になった。
『さ、次やるか。アオイ、釣り頼む』
サビトがこの話はこれで終わりとばかり私に言った。
『うん♪』
嫌な事もあったけど、何かあればサビトがちゃんと守ってくれるし、ユートがフォローいれてくれる。仲間がいる。
それで充分楽しいか。
うん!きっとこれからも楽しい事がいっぱいあるっ。
私はまた張り切って敵を釣りに駆け出していった。
(もしも~し、アオイちゃん、聞こえてますか~♪(^-^))
返信削除(はいはい、聞こえてますよ~(^^ )
↑の会話が可愛すぎて・・・好きです。
ありがとうございます😊
削除この義勇ちゃんは幼女なので😁