とうとう8/13。
何がとうとうかというと…例のコンテストの発表日ですよっ。
朝食後、いつもならネットサーフィンなんだけど、今日は公式をクリ~ック♪
レジェンド・オブ・イルヴィスをプレイ中の皆様、お待たせしましたっ。
ユーザー参加型イベント第一弾あなたが選ぶベスト○○コンテスト結果発表を行いますっ!
寄せられた主なコメント等詳細を参照したい場合は項目名をクリック☆
ベストオブヒーロー=アイジュさん(ガーディアン)
『2位3位と僅差で接戦を繰り広げていたベストオブヒーロですが、見事1位に輝いたのはゲリライベント、第一回イルヴィス王国主催御前試合本戦に勝ち残った強者アイジュさん! その際見せた紳士的な物腰が評価されたのか、寄せられたコメントを見ると圧倒的に女性票が多かった様です』
ベストオブヒロイン=フロウレンスさん(プリースト)
『上記のヒーローとは対照的に圧倒的票数でヒロインに輝いたのは、やはり第一回イルヴィス王国主催御前試合でヒールボランティアとして参加して下さった心優しきプリースト、フローレンスさん。その際に見せた可愛らしい動作からの回復魔法が実は参加者への最高の参加賞だとの噂も』
ベストオブ盾キャラ=コウさん(ベルセルク)
『なんと最強の盾に選ばれたのはガーディアンではなくベルセルクのコウさん!
驚きの事実ですが、第一回イルヴィス王国主催御前試合の優勝者と聞いて納得。
最強のアタッカーに選ばれた御前試合の準優勝者ユキさんが試合時さながらに攻撃してもタゲを一切動かさないという、攻防において素晴らしい能力の持ち主だそうです』
ベストオブアタッカー=ユキさん(ウィザード)
『ちっちゃい体で絶大な攻撃力!その可愛らしさと裏腹な強さを評価され、ベストオブアタッカーに選ばれたユキさんもまた、第一回イルヴィス王国主催御前試合参加者。
惜しくも準優勝でしたが、おそらく一番会場を盛り上げた参加者。
魔物の闇だけでなく心の闇も払拭してくれたその明るさが受賞の一番の理由かも?』
ベストオブヒーラー=フロウレンスさん(プリースト)
『ベストオブヒロインに続いて2つ目の受賞!姫様にぜひ癒されたいとの声が続出中。
彼女がヒールボランティアとして参加するなら試合に参加したのにとの意見も実はかなり寄せられてましたっ。
次回もぜひヒールボランティアをお願いしたいと思いますっ』
*****
うっああ~~~
「すごいよっ!フローちゃん2項目も入ってるっ!」
私の声に
「まじっ?!」
とユートが雑誌を放り出し、コウは
「当然の結果だな」
と言いつつも自分のパソコンを閉じて、私のパソコンを覗き込む。
「コウもユキも入ってんじゃん!5項目のうち4項目がうちのギルドってやばくね?」
ユートが興奮気味に言うと、コウは
「そろそろミッションも進めたいのに、また周りが騒々しくなるな」
とため息まじりにつぶやいた。
「姫のストーカー対策もなんとかしないと…」
なんだか苦労性だよね、コウ。
フロウちゃんはというと、パタパタと洗濯物を手に右往左往しながらチラっとのぞいて
立ち止まり、
「う~ん…お友達票かもしれませんねぇ」
とつぶやいて、またパタパタと去って行く。
お友達票って…そんなにいるんですか?フロウちゃん。
その日の夜はまたすごい騒ぎだった。
インしてマイルーム出たとたんすごい人ごみ。
つか…すごいギルド名発見…”コウ君追いかけ隊”
「あ~アオイっち!」
そのすごいギルドの名前背負った子に声かけられたよ…。
ブンブン手を振られてるよ…。
「無視しないでよっ!私っ!忘れちゃった?映!」
あ~~~~~~
「映ちゃん?!!」
「そそ、おひさ~ww」
カタカナでアキラだったから誰かと思ったっ!
「あ、映ちゃん、久しぶりですね~」
フロウちゃんもリアル隣で嬉しそうに言う。
(ね、ちょっと久々だしコウ君も呼べない?w)
ウィスが来る。
(そのギルド名…コウみたら激怒するよ?(^^;)
(しないって!大丈夫、大丈夫っ!ヨイチもいるからっ!)
ん~どうしようかなぁ…今いつものメンバー5名でパーティー組んでるんだけど…
ちょっと悩んでるとフロウちゃんがリアル隣で
「じゃ、私抜けときますねっ。アオイちゃんのパソコンで見れるからっ」
と即パーティー脱退。
『姫様??』
『姫どうした?!!』
『姫?』
3人ほぼ同時に聞いてくる。
てか、コウはいきなり血相変えて部屋飛び込んで来たよ…。
「あ、コウさん♪映ちゃんがねっ、今ヨイチさんと一緒にいるので、パーティーでお話しようと♪でね私はアオイちゃんの隣で見られるから脱退してみましたっ」
クルリと振り返ってにこやかに言うフロウちゃんに、ちょっとホッとした様子のコウ。
どんだけ心配性なんだよ…。
「んじゃ、戻るけど何かあったら呼べよ」
と、フロウちゃんに言って部屋に戻りかけて、ふと私のパソコンに目を留めて唖然。
「なんだっ!それ?!!!
あ、やっぱし…。
そのままダダ~っと自室に戻った。
「あんなに急いで。コウさんもやっぱり懐かしいんですねぇ」
それをニコニコ見送るフロウちゃん。
違うと思うよ…それ…。
私はとりあえずフロウちゃんが抜けた状況を説明しつつ映ちゃんとヨイチを誘い、パーティーに入ってくる二人。
『映~!!お前何ふざけたギルド作ってるんだっ!!!』
映ちゃんが入ってくるなり、紹介もしないうちにコウ絶叫。
『ほら、映。やっぱりまずいって言ったでしょ。そりゃあコウ怒るよ…(^^;』
相変わらずなヨイチに、コウは
『ヨイチも…わかってるなら止めろ…止めてくれよ…』
とため息をつく。
『何何?なんか面白いギルドなの?てかどなたさんざんしょ?この方々』
その様子に面白がりのユキ君は即飛びつく。
『えっとね、映にヨイチ。最近会ってなかったけど俺らのリアフレ』
そこでユートが紹介すると、
『うあ~ユキ君だ♪よろしくっ!アキラだよっ♪』
と映ちゃんが
『ヨイチです。よろしくお願いします(^^』
と、ヨイチがそれぞれ挨拶する。
それに対してユキ君は例の台詞
『毒舌にして腹黒な特攻野郎…だけど姫様の従者のユキでっす!よろしくっ(^o^)ノ』
『なになに?フロウちゃんの従者なの?w』
それに即反応する映ちゃん。
『そそ、姫様の命令に背いたら針千本で人生終わっちゃうんですぅ(;_;)』
と、ユキ君が答える。
『え~。うちのギルドでは今一押しのカップリングがコウ君×ユキ君なんだけど…』
『へ?カップリングというと…』
聞き返すユキ君の言葉にコウが
『相手にするな。腐るぞ』
とかぶせる。
『映ちゃんはね…腐女子なんだ…』
一応私が説明を付け加えると
『えーw』
と、ユキ君。
さすがに映ちゃんと初めて会った時のコウと違って意味知らないとかはなかったか。
『で、腐女子ギルドなわけね?ま、それはとにかくとして…なんでコウが怒るん?』
ユキ君のもっともな質問に、コウがため息。
代わりに私が答えた。
『ギルド名が…”コウ君追いかけ隊”だからじゃない?』
『うっは~!まじっすかwww』
ユキ君爆笑…。
『お前…いますぐクリスタルかち割れ!
なんなら新しいクリスタル代くらい出してやるからっ!』
コウが言うのに、映ちゃんはきっぱり
『いいの?フロウちゃんのためなのにっ。ギルド割ったらフロウちゃんいじめられるよ?』
と言い放つ。
『は?』
その言葉にきょとんとする一同。
そこでヨイチが映ちょっと黙ってて、と、映ちゃんを止めて、自分が説明を始めた。
『えとね…別に追いかけ隊じゃなくても良かったんだけど、要はうちのギルドはコウの公式ファンクラブみたいな感じで活動しようって主旨のものなんだ』
『それ自体やめてくれ』
と、まあコウなら当然言うだろうなって言葉。
それにもヨイチはやんわりと、黙って聞いてね、と言って続ける。
当たりはすごい柔らかいけど実は押しが強いのか、ヨイチ。
『コウ、自覚あるかどうかわかんないけど、結構人気者だったりするんだよ?
優秀な盾って元々女の子に人気だし、口コミで広まってるっぽいよ?
うちのギルドに来る子達によると。この前の御前試合優勝者でもあるしね。
だからそういう女の子を一カ所に集めてきちんと規律を作って行動するようにすれば姫に嫌がらせとかしないように抑えられるでしょ?』
な~るほど!
『まあ…映がギルド始めたのは本人の趣味で…それは副産物的な物にすぎないけどね』
付け足すヨイチ。なかなかシビアだ。
『でもまあ、基本的にファンの子が集まって妄想するだけで手を出さないっていう規則になってるから。
みんなギルド会話で好きなカップリングとか語り合って盛り上がって満足してるんだ。
ただ…たまにはコウとかユキ君とかに降臨願えればファンの子の規則を守る為のモチベにもなって
いいかなとは思ってるんだけど(^^』
は…腹黒いっ!
ヨイチ!実は策士かっ?!
『俺はいいよーw
イベント好きだし、それで姫様の健やかなネットゲーム生活守れるなら喜んで♪(^^』
『ホントに~?これからってだめ?』
『いいよーw』
ノリよく了承するユキ君にはしゃぐ映ちゃん。
『コウ君は?』
さらにコウに振る映ちゃん。
ここで…嫌とは言えないよなぁ…コウも。
『…何しろって?』
『いてくれるだけでおっけぃ♪』
『いるだけ…だからな』
コウも渋々了承。
『あ、じゃ、カイとランス呼んで姫様の警護させておくからっ♪
で、アオイとユートで囲んどけばおっけいでしょ?w』
ユキ君の申し出に、コウは感謝を述べた。
てことで…私達の今日の予定は決定か~。
そうして映ちゃんとヨイチに拉致られていくコウとユキ君。
代わりに入るカイ君とランス君と戻ってくるフロウちゃん。
『まいどっ!(^o^)ノ』
とユキ君とそっくりな挨拶で入ってくる二人に
『カイさんもランスさんもご迷惑おかけしてごめんなさいっ。
私なら一人で釣りでもしてるので、ホントおきになさらず、お好きにしてらして下さいっ(>_<)』
と、恐縮するフロウちゃん。
そのフロウちゃんの言葉に
『いやいやいやwww』
と、揃って言う二人。
『今イルヴィス1の有名人にしてヒロインの姫様とご一緒できるなんて機会、ユキの奴よくやりやがったぜこのやろ~って事で、今度二人でユキにメシおごってやるという約束をしてたとこでwww』
『問題は…どうやって姫様を街から連れ出すかだなっ!知恵出せ相棒!』
『オシッ!俺は知恵出すっ!お前は金だせっ!』
『なんでやねんっ!(>_<)ノノ』
相変わらずノリの良い人達だ。
それにリアルでコロコロ笑うフロウちゃん。
結局みんなで囲むようにして包囲陣突破。
『どうしよっか。狩りしようにも盾いない』
と、外に出てふと気付く一同。
『盾やれ、2号』
『モンクにそんなムチャをっ。お前がやれっ3号』
『そんなんもっと無理やんww』
そうだよねぇ…。
『しかたないっ!とっておきを出すかっ!』
ランス君がポンと手を打つ。
『とっておきあるなら、さっさと出さんかいっ!』
ペチコンとランス君の頭をはたくカイ君。
『んじゃ、一発手品で盾召喚しま。ギルド会話でカモ~ンと唱えたらあら不思議w』
『それのどこが手品じゃっ!』
『いや、忙しいはずのうちのギルマスが何故か他振り切って来るあたりがイリュージョンww』
ちょっと硬直するフロウちゃん。
『あ、大丈夫っ!実はギルとかいう落ちはないんでっ』
私も一瞬それ思ったけど、さすがにそれはなかったか。
そして待つ事数分。
白い鎧が近づいてくる。
あの…爽やかさ満載のオーラは……
『お~きたきた!』
ランス君が手を振ると、その白い鎧のガーディアンは軽く手を振り返し、フロウちゃんの前まで来ると膝を折ってお辞儀をした。
「あ…アイジュさん、お久しぶりです(^-^」
と、フロウちゃんはにこやかにワンピースの端をつまんで優雅なお辞儀を返す。
そしてパーティーに加わるアイジュさん。
『ランスさんのギルドのギルドマスターってアイジュさんだったんですね(^-^』
フロウちゃんの言葉に、
『そそ。優れ者なんで実は例の跡取り様なんじゃないかと噂のうちのギルマスっす(^o^)』
とランス君が答える。
それに対してアイジュさんは
『騒がれすぎてちょっと困ってるんだ(^^;』
と苦笑い。
肯定でも否定でもないと言えばそうだけど…そういう言い方するとなんだか肯定に取れちゃうよね…
私は彼が跡取り様ではないってことは知ってるからなんだかもにょもにょ…。
まあ…それでもそれを言うわけにもいかないんで、そのまま狩り開始。
タゲ取り能力はともかくとして、確かに固くはなってきたな~アイジュさん。
前よりは格段に上手くなった気はする。
ただ…私達は普段タゲって動かない前提でやってるから…もにょもにょ…。
1時間ほどそうして狩りを続けた後、アイジュさんはフロウちゃんにニッコリ
『姫、疲れませんか?少し休憩いれましょう(^^』
と安全地帯に促す。
しかたなしにそれに続く私達。
『そういえば…今回のコンテスト、ベストヒロインとヒーラーと2部門受賞おめでとうございます。
実は俺、両方姫に入れちゃいました(^^』
ま、いいんだけどね…。
ようは…フロウちゃんと話したくてわざわざ他振り切って来たんだよね…って思ってるとランス君からウィス
(ごめんな~。知ってる盾ん中ではとりあえず一番使える人なんでっ。
姫様ファンなのは許してねっw)
確かにコウを抜かせばかなり使える部類にはなってるし…まあしかたない選択ではあるんだよね。
ランス君も気は使ってるみたいなんで
(いいよー。こういう人は慣れてるしw)
と、返しておく。
『ありがとうございます♪アイジュさんもベストヒーローに選ばれていらっしゃいましたよね。
おめでとうございます(^-^』
フロウちゃんが返すと、アイジュさんは嬉しそうに
『ありがとうございます。ヒロインの姫と並ぶヒーローに選ばれてとても光栄です』
と微笑んだ。
(まあ…姫が選んだわけじゃないんだけどねw)
と、その時まさに私の考えてたのと同じ事を考えてたらしいユートがウィスを送ってくる。
もしかして…コウやユキ君同様ユートも彼を嫌いなのかな…。
ユートが誰か嫌うってみたことないんだけど…
結局その後1時間ほどそんな風にアイジュさんがしゃべってて、その後狩り再開。
0時前までパーティーやって解散した。
そしてマイルーム。
『こっち解散…そっちまだやってるの?』
一応声をかけてみると、
『なら抜ける』
と、コウ。
『別に抜けなくていいよ?』
と答える私に
『抜けられる口実くれ……』
とおそらくため息なコウ。
『コウ疲れてるよなっww』
ユキ君の方は元気…なのかな?
『結局一体なにしてんの?』
と聞くと、ユキ君は
『コウの…耐久レース?ww』
と笑う。
『何それ?』
『えっとね…アタッカーのお嬢さん達が入れ替わり立ち代わりパーティーに入って狩りw
もちろん全開でwww』
うあ……
『おまけに…な…エンチャはとにかくとして…ヒーラーすらいないってありえんぞ…。
薬減るのは良いとしてテクと着替えだけで手一杯なところにアイテム使う手間までって、ホント死ぬぞ』
ひゃあああ……
本当に疲れきったコウの様子にユキ君が解説。
『ま、このゲームってさ、実はヒーラー少ないんだよね。
アオイ達当たり前に姫様いたから感じた事なかったかもだけど。
割合にしたらたぶん7割アタッカー2割ガーディアン、あとの1割がエンチャとか
ヒーラとか、そんな感じ。だからこのギルドはいる前って俺でも殴られたら薬よ?』
そういえば…野良とかだとヒーラー探して右往左往って結構あったよね。
それだけ少ないヒーラーがさらに可愛い女の子キャラだったりしたら、そりゃ追いかけられるよなぁ。
そんな事考えてるとコウが
『抜けたっ!』
と宣言。
続いてユキ君も
『同じく~♪』
と、宣言した。
『おつかれーw』
ユートが楽しそうに言うと、コウは無言。
『ま、それなりに楽しかったよww』
と、ユキ君は明るく返す。
『で?そっちは何してたんだ?』
思い出したくもない、と言った感じでコウが話題を変えるが、もっと聞きたくない話になるかもだよなぁ…。
『えっと6人でレベル上げしてました♪(^-^)』
黙り込む私とユート。
そしてナチュラルに答えるフロウちゃん。
コウ一瞬沈黙。考え中?
『そそ、近くでね、面白い方々いましたよ♪
3人組でゴッドブレードさん、ゴッドアクスさん、ゴッドランスさんて全員ゴッドついてて…』
そんなのいたんだ。
フロウちゃん変なものはよく見てるなぁ。
って思ってたら、それを遮るようにコウの声。
『姫、アオイ、ユート、カイ、ランスで後は?野良…とかじゃないよな?
これ以上粘着増やすのは…』
『アイジュさんです♪』
最後まできかないで更にそれを遮るフロウちゃん。
微妙に…凍った空気。
『あ、あのね、ランスのギルドのギルマスなんだ、アイジュって。
盾いないと狩りできないしさ、ランスが呼んだの』
慌てて付け足すユート。
コウは沈黙。代わりにユキ君が口を開いた。
『アイジュってあの嫌ったらしいガーディアンっしょ?
ランス後ではり倒しだなっww』
うあ~…こっちもこっちで…って思ってたら
『そろそろ落ちるな』
とコウのキャラがログアウト。
そしてリアルドアが開いた。
「姫、ちょっと…」
コウがリアルで手招きをする。
「はい?」
フロウちゃんがぴょんと飛び降りた。
そのまま足をスリッパに通し、パタパタとドアに向かう。
「どうしたんです?」
きょとんと見上げるフロウちゃんの腕を取って
「ちょっと部屋まで来い」
とコウ。
「姫のキャラ落としといてくれ」
と、私に言いおいてフロウちゃんを連れて出て行く。
放置…していいのかな……。
仕方なしに私は自キャラで
『フロウちゃん、コウの部屋に連れてかれちゃったからフロウちゃんキャラ落とすね』
って言ってフロウちゃんのキャラログアウト。
『うぁあ…放置して平気なん?ww』
心配してるんだか面白がってるんだかわかんないユキ君の反応に、ユートがたぶん苦笑。
『まあ…コウは姫には弱いから。ヤバい事にはならんっしょ』
と言った。
『そうなん?でもこの前えっらい勢いで怒ってたじゃん?』
『あ~あれは怒ってるってよりコウ動揺してただけ。
結局あのあと買い物行ってさ、結論としてコウが言っても聞いてくれないだろうから実力行使にでたって事で、これからはコウの方がちゃんと姫の言う事ききますって事で話まとまってたしな』
『うひゃっ。すごいねっ。まじベタ惚れ?ww」
『うん。命より大事な彼女様よ?w』
不謹慎な盛り上がり方をしてる二人を放置で私はそっと部屋を抜け出した。
そのままコソっとコウの部屋の前で聞き耳を立てる。
怒鳴り声とかは…聞こえて来ないな。
そ~っとドアを開けてみる。
私達と同じくベッドラックにパソコン。
その前に座って何か打ってるコウと…その足の間に座ってるフロウちゃん。
はい、これ私邪魔だね。
クルリと反転しかけた時、後ろから呼び止められた。
「アオイ、どうした?」
あちゃ、見つかったか。
勝手にドア開けた事を怒った様子もなく聞いてくるコウに私は
「いや、なんか揉めてたらあれだなと気になっちゃって…」
と、頭をかきながら、また反転。
私の言葉にコウは少しきまずそうに笑みを浮かべる。
「あ~、ユキと会った時の事とか気にしてるか、もしかして。
あの時は驚かせて悪かったな。
無事確認するまで本気で色々悪い想像とかグルグル回ってたからちと感情抑えられなくて…
怒ってたってより泣きそうだった、マジ」
おろ…ユートの言った通りだったんだ。
さすがユート。
「あ、うん。あれはあれでびっくりしたけど…まあ解決してたみたいだしね。
ただほら、アイジュさんの事はコウだけじゃなくてユキ君もユートもなんか感情逆撫でされるっぽいから…。そっちも解決?」
私が言うと、コウは苦笑して首を横に振った。
「いや、確証ないから振り回してもなんだしと思って言わなかったんだけどな、そっちじゃない、姫呼んだ理由」
あらら?
「ゴッド3人組の話がちょっと気になってな…」
「あ…さっきのフロウちゃんの話?」
「そそ。なんていうか…単体なら単なる浸った名前の集団かと思うんだが、イヴってのもいたろ?
イヴ使ってた奴は今刑務所だが、あれ名前といい外見といい行動といい、”あのイヴ”モデルっぽいし。
で、気になってたところに、今度はゴッドシリーズっていうから…もしかしてゴッドセイバーもどきなのかと…。
そうだとしたらいったい誰がなんの目的でわざわざあの時のゲームのキャラ真似てるんだろうってな…」
そう言えば…最近周りが騒々しくてすっかり忘れてたけどそんな子がいたなぁ…。
なんか…あのゲームやってた人間知ってるのってほんの一部だし、犯人以外の参加者の中で生き残ってるのって私達4人と映ちゃんとヨイチだけなんだよね…。
でもそのいずれも違うとなると…
「可能性と言うと…あとキャラ知ってたのって運営関係?」
自分で口にしておいてなんだけど、運営がそんな事する意味どこにあるんだろう…
って思ってたらコウが付け足した。
「…と、殺された奴らの遺族だな」
あ…そか…。
でもそれにしてもなんで?
私が疑問の目を向けると、コウはそこでチラリとフロウちゃんに目を向け、また正面を向いた。
「ま、その辺はもうちょっと核心に近づいたらな。
てことで…お前なんかまた前回のゲームのキャラもどきみつけたらチェックいれといてくれ。」
たぶんフロウちゃんの不安あおりたくないんだね。
切り上げるコウに私はうなづく。
「それはその辺で…お前の不安の方解消しとくか」
コウはいきなり話題を変えた。
は?
「確かにアイジュの事は面白くはないが、それで他と喧嘩はしないぞ、俺は」
あ~そっちか。
始めの話題に戻ったのね。
「アイジュさん…ユキさん達と違って、面白いとかいうタイプじゃないですよねぇ、確かに」
うんうんとうなづくフロウちゃん。
それ…意味違うし…。
「フロウちゃん、それ意味違う。気分悪いってことだよ、面白くないっていうのは」
相変わらず日本語の通じないフロウちゃんに解説する私。
「気分…悪くなる事されました?何か」
きょとんとするフロウちゃんに私はため息。
「普通さ…自分の彼女に男が言いよって来たら気分よくないと思うよ」
なんでそこまで鈍感かなこの子は…と思いながら説明すると、フロウちゃんは
「そういうものです?」
と不思議そうに聞き返して来た。
そういうものだよ、普通。
…ってか違うのか?
「フロウちゃんだってコウに女の子言いよって来たら気分悪いでしょっ」
もう自分に置き換えないとわからないかねぇと思って言うと、フロウちゃんはフルフル首を横に振った。
「別にモテるだけなら気になりませんけど…。
コウさんの方から言いよってるわけじゃないですし。
コウさん自身は私の事好きだって言ってくれるから♪」
「ぜんっぜん不安ないの?!」
「はい、ぜんっぜん。なんで不安になるんです?」
逆に聞き返されて私は返答に困った。
なんていうか…ありえない楽天家っ!
「自信がないから…自分に」
言葉のない私の代わりにコウがため息まじりに言った。
「アオイちゃんが?」
フロウちゃんはコウの足の間で自分の足を抱えた体勢でコウを見上げる。
「いや、アオイは知らんが俺はそう」
コウ…自虐モード…。
足の間に座るフロウちゃんを抱え込んで、その肩に顔をうずめた。
「う~ん…なんでそこまで自信なくなるのかわかりませんけど…、アイジュさんが原因ならとりあえずフレカ削除しておきますね♪」
うああ~~~なんて極端なっ!
「あ、いやっ!別にそこまでしなくても…」
焦るコウ。
「ん?だって一番好きなのはアイジュさんじゃなくてコウさんだからっ♪」
にっこり見上げるフロウちゃん。
なんていうか…反則だね、これ。
私まで赤くなってきちゃったよ…。
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