清く正しいネット恋愛のすすめ_26_女子への愛情、男子への友情

負けた…もうだめだ…

元々出来上がっていたカップルの中に割って入るような真似をして勝負をしかけて惨敗した。

それだけじゃない。
ライバルのはずの義勇の恋人の男に、好きな相手に避けられ続けるのは辛かろうなどと同情され、苦手意識が薄れるように固定パーティーに入って交流を持つか?などと勧められる。

それを竈門炭治郎にどうせもう一人入れるなら別の人間が良いと拒否られて、それじゃあ他の皆も一緒にギルドを作ろう、みんなで楽しく遊ぼうなどと言う話になって、未練がましいとは思いながらも拒否できず参加。

ああ、わかってる。
ゲーム内の勝負の問題じゃない。

頭が良くて運動神経が良くて、覚えている限りでは顔も声も良かった。
そのうえに性格まで完璧に良いとなれば、そもそもが敵うはずなどなかったのだ。

ウサが出てきたならもうだめだ、諦めろ…というあの日の宇髄の忠告は本当に正しい。
あの時諦めてしまっていれば、こんなみじめで悲しい思いをせずにすんだのだろうか…

そんな事を思ったが、こうなってもなお、義勇の事が好きなのだから、はっきり結果もでないうちに諦められるはずがなかったか…とため息をつく。

ログアウトすることも忘れて、そんなことを考えながら呆然としていると、ふと目の前に派手な宍色の髪のキャラ。

何故だかわからない。
だが、気づけばパーティーの誘いを送っていた。


『今回はお疲れ。これからよろしくな』
と、即招待を受けて二人パーティーに入ってくると、当たり前にそう挨拶をしてくるサビト。

プラス方向にもマイナス方向にも気負いが感じられないあたりが、さらに腹が立つ。

『てめえとよろしくはしたくねえけどな』
と、苛立ちのまま返せば

『サネミは正直だな。
まあ、ギユウとPTを組む時はタンクは俺だから、それはもう諦めてくれ』
と返してきた。

文字だけのコミュニケーションだからわかるはずもないのに、なんとなく…なんとなくサビトは苦笑している気がする。

義勇のことさえなければサビトといるのは心地いい。
良い意味で細かいことにこだわりを持たずに、許容されている感がある。

宇髄もそういうところはあるが、奴はしばしば照れ隠しなのか、からかいのような言葉を含むことが多いが、サビトはそれがない。

『お前が惚れたのが冨岡じゃなければな…』
と、ぽつりと零れた本音に、サビトの方から

『俺も同じことを思っている。
誰かに怖がられて避けられて…話も聞いてもらえずひたすら嫌がられるのは辛い…
できればそんな経験をする人間はいないほうがいいと思っているし、相手が義勇じゃなければ、お前も宇髄の友人でもあるし、平和的に解決するのに俺ができることがあるなら協力するのもやぶさかではなかったんだが……すまないな、義勇は俺にとって特別すぎるんだ…』
と返ってきた。


『…あ”あぁぁ?…わかったような事言いやがって、てめえはそんな経験ないだろうよ』

好意と嫌悪と言う本来は絶対に同時に存在しない相反する感情が頭の中をぐるぐるして、なんだか苦しくなってきた不死川が、そう、吐き捨てるように言うと、サビトから出たのは驚くべき言葉だった。

『俺は一人じゃないから…クラスのほとんどの女子に怖がられて避けられて、耐え切れなくて男子科に移籍したからな…』

『…へ??お前、なにやらかしたよ?!』

小等部の頃から乱暴者として気の弱い女子には怯えられていた不死川でさえ、そこまでのことになったことはない。
それが事実だとしたら…まあ、さすがに堪えるだろう。

『頬の傷な、幼稚舎の頃にちょっとした事故でついたんだが、怪我が治って幼稚舎に戻ったら、男は普通にそれまでと同じ態度で接してくれたんだが、女子には怖いって泣かれて避けられて…。
態度変えなかったのは胡蝶くらいだな』

『胡蝶って…胡蝶しのぶか?』
『そうそう、その胡蝶だ』

『あ~、あいつは気がつっええもんなぁ…。
あいつが傷が怖い~とか泣いてんのなんて、確かに想像つかねえわw』

『気丈な女子だよな。
…で、その後は……義勇が初めてだった。
俺を怖がらず、逃げずに受け入れてくれるのは…。
義勇だけが、こんな人相が悪い武骨者に好意をむけてくれたんだ…』



あ~…なんか泣きそうだ…と、不死川は思った。

自分の場合は避けられるのも怖がられるのも自分の行動の結果だが、自分が何もしていないのに、怪我が治ってクラスに戻ったらいきなり半数くらいの人間に化け物みたいな目で見られれば、そりゃあショックだろう。

しかもそれが幼稚園児の頃ときたら、本当にトラウマものだ。



『なんだかな…いまだに女子に対しては傍にいるのが申し訳ない気になるんだよな…
怖い思いさせて、泣かせてすまないって気になるから、あまり近づきたくない』

『てめえは馬鹿かっ?!
悪いのはそんなんで騒ぐ女の方だっ!
当時俺がいたら殴ってやったのにっ!!』

『…いや、気持ちはありがたいが、女子を殴るのはダメだろう。
男として生まれたなら、女子供には親切にせねば……』

『男も女も関係ねえ!悪い奴は悪いっ!!
…てか、お前、共学科に移籍して来いっ!!
ガキの頃そんな態度取られたらトラウマの一つもできてるかもしれねえが、今、てめえは確かに女どもに大人気だからなァっ?!
てめえが玄関先で冨岡待ってた時だって、うちのクラスの女どもの半数はてめえを見に窓際にむらがって、キャーキャー騒いでやがったんだぞっ!』

『いや…それは良い意味でとは限らな…』

『あ~の~な~~!言いたかねえが、てめえに投げ飛ばされて玄関にへたってた俺を心配したのは宇髄だけで、女どもは、「さすが鱗滝君♡」とか、「かっこいい~!!」とか、投げ飛ばされた俺の目の前で黄色い声あげてやがったんだからなっ?!』

本人の認識と現実のズレがすごすぎてじれったい。
というか、成績は良いと聞いてはいるが、不死川から見れば人が良すぎて、一周回って馬鹿だと思う。

…というか、なんでもできるくせに妙に性格が不器用すぎて、不死川の長男魂がガンガン刺激された。
諦めきれたわけではないが、もう、ここはこれでいいか、という気になってきてしまった。


『あ~…もういいわっ。てめえらは勝手に幸せになりやがれぇっ!』
『…?…ああ、ありが…とう…?』


こうしてなんだか和解というか、一方的にわだかまりが取れて、好きという気持ちは消えないまま、なんだかもう一つ別の好きが増えたように思う。

今後…不死川は、そこから色々聞いて知って、さらにキレ散らかすことになるのだが、そこはまあ、また先の話ということで……


Before<<<    >>> Next(8月23日0時公開予定)



4 件のコメント :

  1. さねみん…女の子相手に正義(物理)は確実に父親の影響受けすぎ😢自分の妹さんが同じ目に遭ったらって考えようね。そして、しのぶちゃんにも失礼過ぎる(;_:)しのぶちゃんはさねみんの💛を抉っていい気がする…それはそれとして世間的にもさねみん自身から見ても錆兎最強(*'ω'*)9☆☆☆

    返信削除
    返信
    1. たぶん…自分の妹でも弟と同じ扱いしてそうな予感が😅💦
      やっぱりほら、家庭では男だから女の子には優しくって育ち方してなさそうだから、社会に出て揉まれて学ぶタイプかと…

      削除
  2. 真菰ちゃんならネットでもリアルでもガンガン矯正してくれるって思います(*⌒‐⌒)9゙

    返信削除