ふと気がつくと目の前にはフェリシアーノ。
「びっくりしたよぉ。二人して上から降ってくるんだもん。
ウィルがいなかったら死んじゃってたよ」
ニコニコと言うフェリシアーノの横にはウィリアム。
「まあ、チビちゃんは仕方ないとして…フェリのビスコッティが美味しかったからおまけもついでにね」
と、ウィンク。
それだけでも十分訳がわからないのに、今度はドサドサドサ~っと何やらローブやら杖やらが降ってくる。
「回収しといたチビの装備だ」
と言う声に振り向くと、そこには何故かルートに並んでアイルの姿。
「またやろうぜ…って言いてえとこだが…もうお前ら島出るしかねえしな。
でないとスコ兄が戻ったら殺される」
というアイルの言葉に
「何から何まで世話になったな、礼を言う」
と固い握手を交わすルート。
「いったい…どうなってんだ?」
訳がわからず戸惑うギルベルトにフェリシアーノが説明する。
「あのね、一番上のスコットさんは今ここにはいないんだって。
で、お友達になったウィルやアイルが助けてくれたの。
島内だとウィルはどこでも飛べちゃうし、また連れ戻されちゃうから、島を出た方がいいって…。
船は北の国から出してくれるらしいし、ギルもウィルが送っておいてくれるっていうから、このまま出発ってことになったんだ。いい?」
「いい?って…俺はええけど、フェリちゃんロマやじいさんにお別れ言わんでええん?」
ギルベルトの言葉にフェリシアーノは少しうつむき加減に笑みを浮かべる。
「うん…たぶん反対されちゃうからね。
予定より少し早い出発になっちゃったけど、行っちゃおうかなって」
「お前は?いいのかよ?」
続いてルートに視線を向けると、ルートは当然、というようにうなづいた。
「兄さんは俺に自分が選んだ道を進めと言っていたしな。
国王となって多くの国民を導いていくのに、今の未熟なままの自分ではダメだ。
だからエリザには気苦労をかけて申し訳ないが、あと1年ほど修行期間をもうけてもらおうと思っている。
まあ…それが通らないなら、国王陛下には俺以外にも多くの孫がいるし、跡取りの座は辞退して、俺を育ててくれていた頃のあなたのように傭兵でもしながら、フェリシアーノと暮らすさ」
「ルート…!!」
また二人の世界に突入するフェリシアーノとルートから、ギルベルトはウィリアムとアイルに視線を移した。
「お前らは大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫。全部このNOUKINの責任にするからっ♪」
「てめっ!先に茶菓子に釣られたくせに!」
と、お約束のように始まるじゃれあい。
「ま、NOUKINからかうのはこのくらいにして…」
ヒョイっとまた杖を振ってアイルを拘束すると、ウィルはにっこり笑った。
「さすがに実の弟は切れないからね、大丈夫だよっ。ご心配なく」
結局ウィルの魔法で北の国との国境まで送られる4人。
その後、迎えに来たフランシスの馬車で北の国の港へと向かったのだった。
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