フェイクorノットフェイク、ソレが問題だ_波乱の幕開け1

一度しかことに及んでいないので、週数はすぐわかる。

Xdayから1ヶ月強。
ゆえにだいたい今2ヶ月強と考えればいいだろう。

ということは、出産まであと8ヶ月弱なので、少し早めに施設は用意したい。

新しく作るのがいいのか、金で買い取るのがいいのか…。
そのあたりはもうギルベルトにはわからないので、とりあえず数千万ほどスコットに渡して、丸投げさせてもらうことにした。



それと同時に家を探す。
こちらはダイニングとリビングを除くと2部屋しかない今のマンションでは子どもが育ったら手狭だろうというだけなので急がない。

が、亡くなったアーサーの母親に執着しているがゆえにアーサーにまで犯罪まがいのことをしてまで執着しているアーサーの戸籍上の父親や、弟が財閥を継ぐために障害になりそうなものをすべて排斥したいがゆえにギルベルトに子どもができないようにしたい副社長など、色々厄介な人物達が何をしてくるかわからないのもあり、セキュリティだけはしっかりしたものを購入したい。

あとはこちらは楽しいベビー用品選び。
まだ性別はわからないが、とりあえず白やクリーム色ならどちらでも大丈夫だろう。

赤ん坊のものは見てて楽しい。

アーサーが最近家で編んでいる赤ん坊用のミトンやら靴下なんか本当に小さくて可愛らしすぎだと思う。


子どもが腹にいることはスコットが手配した医者の見立ではっきりした。
そしてギルベルトがそのことを歓迎していることを知ると、驚いたことにアーサーは全く動揺をしなくなった。

普通なら男に生まれていきなり子どもが出来たと言われれば動揺すると思うのだが、アーサーは屋敷に閉じ込められるように育ったため、そのあたりの意識が他に比べて薄いらしい。

そう言えば同性であるギルベルトとの結婚ということに関しても、ギルベルトの方に疎まれやしないかという心配はやたらしていたが、自分の側に拒絶感があるような様子は一切なかった。

相変わらず一部を除いた食べ物の匂いがだめになっているので、一緒にしていた食事の支度もギルベルト1人でしているのだが、その間、リビングのソファで楽しげに生まれてくる子のために編み物をしているアーサーを見ると、実は性別の意識というのは、後天的な教育の賜物なのかもなと、ギルベルトは思った。

男でもアーサーは可愛い。
同性であるアーサーの腹に子が居ることに関しても、全く違和感を感じない。

そこにはただ、伴侶とその腹に自らの血を分けた子という家族がいる、それだけである。



こうして静かに穏やかに時が流れていく。

マンションのセキュリティは完璧でアーサーの身の安全は確保されているし、アーサー自身のメンタルも落ち着いてきた。

生まれてくるための医療関係の準備はスコットがすべて滞りなく手配してくれるし、たまには気晴らしにと悪友たちが訪ねてきてギルベルトとアーサーの緊張をほぐしてくれる。

すべてが順調だ

そう思っていたが、当然その平穏は続かない。
波風の予兆が一つギルベルトの携帯に届いた。

知らないメルアド。
しかし差出人は名乗っているのでわかる。

リチャード・カークランド……アーサーの戸籍上の父親である。



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