ヒロイン絶賛修行中10

こうして試食タイム。

何故かアーサーの分だけナプキンを用意しているアントーニョ。

「お前…露骨だねぇ…」

と苦笑するフランシス。


エリザベータは

「あら、そのナプキン可愛いわね。羽の模様って天使ちゃんにぴったり」

などとにこやかに褒める中、あれは放置すべしというフランシスの忠告に従って一人楽しく

「小鳥さん、カッコいいぜ~!俺様ってやっぱり天才っ!」

と、ランチボックスを突きながらつぶやくギルベルトの言葉に、ふとギルベルトのランチボックスを覗いたアーサーが

「あ、ギルの小鳥さんだけクチバシオレンジだ。もしかして人参か?」

などと反応したので、また機嫌が急下降するアントーニョ。

「おう、グラッセ作るのに使ったのを少し取っておいて使った特別仕様だぜ」

などと、言わないで良い事を言いつつ更に羨望の眼差しなど向けられてしまったから、大変だ。

黒い笑みを浮かべたアントーニョのフォークが伸びてきて、ガシっと小鳥を突き刺すと、口に放り込んで噛み砕く。



「ああ~~!!俺の小鳥さんがぁああ~~!!」

と悲鳴と共に伸ばされるギルベルトの手。

無言で噛み続けたそれをゴクリと飲み込むと、やはり黒い笑みのまま一言

「味は一緒やったで」


「あ…代わりに俺の…」

あまりにガックリとするギルベルトを気の毒に思ったのか、自分の小鳥の頭の上のピックを掴みかけるアーサーの手を


(お願い、坊っちゃん、空気読んでぇぇ~~~!!)

と心の中で絶叫しながらフランシスが掴み、


「自分…ドサクサに紛れて何しとんの?」

と、アントーニョのフォークに危うく刺されそうになって慌てて手を引っ込め、その間に、さすがに空気を読んだエリザが

「特別にあたしの小鳥あげるわよ」

と、ギルベルトのランチボックスにひょいっと自分の小鳥を放り込んだ。




こうしてなんとか波乱に満ちた悪友キッチンの収録が終了して楽屋に戻ると、ぐったりとするフランシスとエリザ。


「お願い…天使ちゃんはトーニョといてね?事務所の方針だから…」

と、アーサーにはエリザが



「お前さ…なんでいつも読める空気が坊っちゃん絡みだとここまで読めなくなるかなぁ。
坊っちゃんに構うとトーニョがキレるからね?あいつに理性を問うても本気で無駄だからね?お前が大人になって空気読んでね?」

と、ギルベルトにはフランが、くれぐれ言い含めて、なんとかその日の仕事は終了した。


あとは…今日は午後からの新年会のみだ。



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