もしかして今でもお付き合いあったりするんですかっ?!
というか…もうエルネストさん、イメージモデルやりますっ?!」
さきほどまでぐったりしていたのが嘘のように黒曜石のような目をキラキラ輝かせながら身を乗り出す後輩に、エルネストは苦笑して言う。
「俺もう33やで~。若者ちゃうて。
今回は若者向けの結婚式の企画やろ~。
ついでにそれも俺ちゃうで。俺の従兄弟の坊なんや。
母親の妹の子ぉなんやけど、似とるやろ~?今日本で大学生しとるわ。
隣の子ぉは俺の父親の従兄弟の子ぉやねん。ちっちゃい頃は近所に住んどったからよお遊んだったんや。
その子もいったんは病気の治療で日本離れとったんやけど、もうすぐ日本に戻るらしいで」
「その方達にお願いしましょうっ!!」
「はぁ?」
いきなりガシっと手を取って真剣な目で言う本田に、エルネストは目を丸くする。
「そうですねっ。
テーマは…『あの幼い日の約束を今叶えよう!――愛する二人の結婚式はホテルアルマダで…』と言う感じでっ!どうですっ?!!」
どうです?も何も、目がもう『これで行きますよっ!』と言っている気がする。
反対意見は聞きませんっ!私が決めた、今決めたっ!!と言わんばかりの、普段が嘘のようなすごい迫力である。
「その方々、紹介頂けますよねっ?!」
と勢いこんで言う本田に、エルネストは従兄弟の顔を思い浮かべる。
まあ…絶賛貯蓄中な従兄弟、アントーニョはモデル料をはずめば来るだろう。
だが問題は……
「なあ…従兄弟の方は今めっちゃ貯蓄に励んどるからバイト料はずめば来ると思うんやけど、女の子の方は別の子ぉやあかん?」
少し困った顔で眉を寄せるエルネストに本田はブンっ!!と首を…いうより、もう頭ごと横に振りきった。
「ダメに決まってるでしょうっ!!
メインのポスターは同じ教会で小さい頃の二人と今現在の二人を並べるから『あの頃の約束を…』になるんですからっ!!
絶対に同じ二人を使いたいんですっ。お願いしますっ!
私の社員人生がかかっている大プロジェクトなんですっ!!」
と、息継ぎもなしに一気に言いきると、今度はブンッ!!ときっちり90度に頭を下げる。
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