The escape from the crazy love_7_6

エピローグ

「…んだよ…本当に面倒くせえ兄弟仲だな……」
パタンとドアが閉まった瞬間、プロイセンがハ~っとため息をついてしゃがみこんだ。

「可愛いなら可愛いって素直に言やあいいのによ。俺様見習えよ、俺様を」
というプロイセンに、ドイツが苦笑する。


「ま、そのおかげで親分はアーティの可愛さに気づいたわけやし、結果オーライってとこやな」
「お前はなぁ…。俺様なんか悪友二人の争いに巻き込まれるだけ巻き込まれてさんざんだぜ」
「まあまあ師匠、いいじゃありませんか。時代は西英…西英なんですよっ!」
「おい…何がいいのか全然わかんねえぞ、日本…」

「ふふっ、ソっとこちらから覗いてみて下さいな」
肩を落とすプロイセンに日本は手招きをする。

「…?…なんだ?」
プロイセンだけじゃなく、ドイツとスペインも、日本が立つ窓際へ。


「…ほら、あれ…」
と、日本が指差す先には庭先でお茶にしていて、日差しに誘われたのだろう。
芝生の上でお腹いっぱい満ち足りた顔で寄り添うようにうたた寝をするイギリスとイタリア。

そしてそこにブランケットを持ってきたロマーノが加わって、双子がイギリスの左右に寝転んでシェスタを始める。

「うああぁあ~~イタリアちゃん、マジ天使っ!」
と叫ぶプロイセンの口を
「大声を出すな、兄さん。起こしてしまっては可哀想だろう」
と、ドイツがガシっと塞いだ。


「天使組とツンデレ組…あるいは味の差トリオ…ああ眼福です」
と、日本はサラサラとノートにペンを走らせる。


「ああ…ほんま楽園やんなぁ…」

7つの海を越えてはるか新大陸まで足を伸ばしても見つからなかった楽園が、なんと自分の庭先にあったとは、本当に不覚だった。


――世界がまだ未知数で、船を漕ぎ出せば新しい世界がひらけていた頃…。

それを懐かしんであの海辺の家に行く事はもうないだろう…。

きっと次行くときは、この子たち全員連れてったろ。
それこそが親分がずぅっと探しとった夢と希望に満ちた楽園やんな。


キラキラ光る日差しの中、天使たちのまどろみを見守りながら、スペインはそんなことを考えながら幸せそうに微笑んだ。





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