陰謀
――親分な、自分のモンにちょっかいかけられんの好きやないねん。
親分の大事なあの子におかしな事吹き込んだら…スペインブーツだけじゃすまさへんで?
……なあ、フラン?――
長い一生の中でこれほど恐ろしくも背筋が凍りつくような笑みを向けられた事はない。
自分の方がこの場から退場したいが…そしてスペインも本当はそれを望んでいそうだが、何故か退場は許されないらしい。
床に広がる涙に冷や汗が追加された気がする。
スペインが部屋を出てからも震えが止まらない。
ああ…自分はヤブから蛇をつついて出してしまったのか…それとも?
あの目は、あの声は本気の時のものだ。
はるか昔、スペインが手にした最初の子分に戯れに冗談で『うちに来ればいいのに』と声をかけた時と同じ…いや、それ以上の…。
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