その日の夜はまたすごい騒ぎだった。
インしてマイルームを出たとたんすごい人ごみだ。
というか…フランはすごいギルド名発見した。その名も”トーニョ追いかけ隊”
そのすごいギルドの名前背負った子に声かけられて、手をぶんぶん振られてぎょっとするフラン。
思わず他人のふりをしようとすると、
「無視しないでよっ!私っ!忘れちゃった?エリザ!」
と言われて思いだした。
「エリザ?!!」
「そそ、おひさ~ww」
誰かと思っていたら、前回の殺人事件が起こったオンラインゲームでオスカーという狩人を使っていたエリザだ。
よくよく見ると今回も前回同様のキャラだ。
「久しぶりだね~」
と、思わず懐かしんでいると、エリザもといオスカーは
(ね、ちょっと久々だしトーニョも呼べない?w)
ウィスを送ってくる。
(そのギルド名…トーニョみたらさすがに引くと思うよ?(^^;)
(大丈夫、大丈夫っ!ヨイチもいるからっ!)
ヨイチも同じく前回のゲームで一緒だった狩人で、中の人はエリザと仲の良い本田菊という小柄で大人しい少年だ。
ん~どうしようかなぁ…と悩むフラン。
今いつものメンバー5名でパーティ組んでいるので、あと一人しか余裕がない。
こそりとギルベルトに事情を話すと、
(あ~、じゃあ俺アリスと抜けとく)
と、アーサーに了承を取ってパーティを抜けた。
そこでフランはとりあえずオスカーとヨイチを誘い、パーティに入ってくる二人。
『オスカ~!!自分何ふざけたギルド作ってるん?!!!』
オスカーが入ってくるなり、紹介もしないうちにトーニョが絶叫。
『まあ…少しやりすぎた感はありますね。
名称だけでももう少し考えても良かったのでは?オスカー(^^;』
相変わらずなヨイチに、トーニョは
『ヨイチも…わかってるなら止めてんか?
…ほんまなんやねん、この恥ずかしいネーミング…』
とため息をつく。
『何何?なんか面白いギルドなの?てかどなたさんっすか?この方々』
その様子に面白がりのカオルは即飛びつく。
『えっとね、オスカーにヨイチ。最近会ってなかったけど俺らのリアフレ』
そこでフランが紹介すると、
『うあ~カオル君だ♪よろしくっ!オスカーですっ♪』
とエリザが
『ヨイチです。よろしくお願いします(^^』
と、キクがそれぞれ挨拶する。
それに対してカオルはいつもの調子で言った。
『毒舌にして腹黒な特攻野郎…だけど姫様の従者のカオルでっす!よろしくっ(^o^)ノ』
『なになに?従者なの?w』
それに即反応するエリザ。
『そそ、姫様の命令に背いたら針千本で人生終わっちゃうんですぅ(;_;)』
と、カオルが答える。
『え~。うちのギルドでは今一押しのカップリングがトーニョ×カオル君なんだけど…』
『へ?カップリングというと…』
聞き返すカオルの言葉にトーニョが
『相手にせんでええわ。腐るで。
ていうか、俺にはあーちゃんおんねんから、やめたって』
とかぶせる。
『オスカーはね…腐女子なんだ…』
一応フランが説明を付け加えると
『えーw』
と、面白がるカオル。
『で、腐女子ギルドなわけね?ま、それはとにかくとして…なんでトーニョが怒るん?』
カオルのもっともな質問に、トーニョがため息。代わりにフランが答えた。
『ギルド名が…”トーニョ追いかけ隊”だからじゃない?』
『うっは~!まじっすかwww』
カオルは爆笑。
『自分…いますぐクリスタルかち割り!なんなら新しいクリスタル代くらい出してやるさかいっ!』
トーニョが言うのに、オスカーはきっぱり
『いいの?アリスちゃんのためなのにっ。
ギルド割ったらアリスちゃんいじめられるわよ?』
と言い放つ。
『は?』
その言葉にきょとんとする一同。
そこでヨイチがオスカーちょっと黙ってて、と、エリザを止めて、自分が説明を始めた。
『えとね…別に追いかけ隊じゃなくても良かったんですけど、要はうちのギルドはトーニョの公式ファンクラブみたいな感じで活動しようって主旨のものなんです。』
『それ自体やめてんか…』
それにもヨイチはやんわりと、黙って聞いて下さいね、と言って続ける。
当たりはすごい柔らかいが実は押しが強いヨイチ。
『トーニョ、自覚あるかどうかわかりませんけど、いま結構人気者だったりするんですよ?
優秀な盾って元々女の子に人気ですし、口コミで広まってるっぽいです。うちのギルドに来る子達によると。
この前の御前試合優勝者でもありますしね。
だからそういう女の子を一カ所に集めてきちんと規律を作って行動するようにすればアリスさんに嫌がらせとかしないように抑えられるでしょ?』
な~るほど!
『まあ…オスカーがギルド始めたのは本人の趣味で…それは副産物的な物にすぎませんけどね』
付け足すヨイチ。なかなかシビアだ。
『でもまあ、基本的にファンの子が集まって妄想するだけで手を出さないっていう規則になってますから。
みんなギルド会話で好きなカップリングとか語り合って盛り上がって満足してるんです。
ただ…たまにはトーニョとかカオル君とかに降臨願えればファンの子の規則を守る為のモチベにもなっていいかなとは思っているんですけど(^^』
は…腹黒いっ!
ヨイチ!実は策士かっ?!
『俺はいいよーw
イベント好きだし、それで姫様の健やかなネットゲーム生活守れるなら喜んで♪(^^』
『ホントに~?これからってだめ?』
『いいよーw』
ノリよく了承するカオルにはしゃぐエリザ。
『トーニョは?』
さらにトーニョに振るエリザ。
さきほどの話を聞くと、ここで嫌とは言えない。
『…何しろって言うん?』
『いてくれるだけでおっけぃ♪』
『いるだけ…やからな』
トーニョも渋々了承。
『あ、じゃ、シドニーとティモシー呼んで姫様の警護させておくからっ♪で、マリアとフランで囲んどけばおっけいでしょ?w』
カオルの申し出に、トーニョは感謝を述べた。
ということで…フラン達の今日の予定は決定だ。
Before <<< >>> Next
0 件のコメント :
コメントを投稿