オンラインゲーム殺人事件あなざーその6・魔王探偵の事件簿_8

『アゾットの日記 -4- 

とりあえず…そうと決まったらイヴが捕まる前に真犯人らしき人間を作らないとだ。

ここでいきなり全く面識のない人間も使えないし、利用できるとしたらイヴのもう一人の仲間のショウと僕に気があるらしいメグ…。

さてどうするか…。
ショウは殺人にびびったらしく、イヴにゲームをやめると言って来た。
冗談じゃない。
次々やめていかれたらイヴに声をかけた意味がない…。
しかたない…やめる宣言をしているショウを殺す事によってやめても無駄だと皆に悟らせるか……さあどうする…。

メグを…利用するか…。

どちらにしても今後周りを騙すためには個別に連絡を取れる手段が必要になるし、全員のメルアドを集めさせないと…。

とりあえずイヴにはショウの連絡先をたずねさせる。
バットマンと同じくイヴに気があるショウはイヴにだけならとあっさりと連絡先を吐いた。

イヴが女キャラだというのも奴の警戒心を緩めるのに一役買っているようだ。
キャラの性別がリアルの性別なんて限らないと言う事が全くわかってないあたりが低能すぎて笑える。

メグは、今回の事もあるし、ゲームに接続できない時間にも連絡を取れる手段があった方がいいが、それを男の僕が提案するとみんな警戒するから、女の子の君が発案者という事にして欲しいと言うとあっさり了承した、馬鹿だ。

さらにこのままではイヴに向かうであろう疑いの目をそらさせるため周りを撹乱したいので、方法まで指定する。

まずメルアド交換をしても良いと言う奴のメルアドを一度メグが聞いて、送って来た奴に送り返すという方法だ。
これで本当にメルアドを送ってきたか来なかったのかはメグしかわからないという状況ができあがる。

こうしてメグにメルアド交換を申しださせてメルアドを集めさせた。
こういう状況だから、みんな心細くなって群れたがるのは必須。
案の定、やめると言うショウとヨイチというアーチャー以外は全員メルアドをよこして来た。

メグにショウはやめるから交換しないと言ってたと教え、ヨイチにはメグ本人に確認させるが返事がなかったので参加の意志がないと結論づける。

とりあえずヨイチはどうでもいい。
ショウがやめると言っているというのを全員に知らせるのが目的の一つだ。

メグにメルアドを回させる時に、参加しなかった奴の不参加理由も明記させた。

メルアド交換終了のタイミングでイヴにショウを殺させる。
まあ…やめると言えば殺されるとは思わなかったんだろうな。
相手がイヴという事もあってショウはあっさり騙された。

あとはメルアド交換の発案者が実は僕だという事をメグが漏らす前にメグを殺させなくては…。

メグを呼び出すのは簡単だった。

ショウこと秋本翔太殺害のニュースが流れたその晩、インしてイヴと合流後、メグにメールを入れる。
そして秋本翔太がショウで殺された事、イヴがショウはメルアドを送ったのにメグのメールでやめるから不参加だと書かれていたと言っていると伝える。

このままだとメグが悪用するため故意にメルアド交換の情報を改ざんしたと言いふらされかねない。
こういう状況になってから実は発案者が僕でショウがやめると言った話も僕から出ていると言っても、周りは僕がメグをかばってると思うだけだろうと言うと、焦ったメグから助けを求められた。

僕がその事できちんと相談したいから今から出て来て欲しいと言うと、焦っていたのだろう、
メグは愚かにも誘い出されてきた。
それは当然イヴに殺させる。

誘い出せるメドが付いた所でもう一仕事…
イヴのアリバイ作りだ。

イヴがメグを殺してる間に二人目の被害者が出た事を理由に、一度全員の顔見せをと全員を広場に呼び出し、イヴと僕は普通に会話をする。

もちろん…イヴを操っているのも僕だ。
PCを2台並べて一人二役を演じている。

しかしこれでメグ殺害時刻に全員の前で話をしていると言う事で、僕とイヴのアリバイが成立した。

さらに…仲間が二人とも死んでしまって怯える可哀想な女の子を慰める善良なプリーストという図を全員に植え付ける事で今後イヴと行動を共にするのが自然に見えるようにできる。

…完璧だ。』

共感できるかどうかは別にして、ずいぶん慎重にして緻密な計算をしているな、と、感心はする。
感心はするが、同時にイヴのように単純に金が欲しいという目的のために動くのと違い、犯罪そのものを楽しんでいるアゾットに、なんのかんので正義感の強いギルベルトは激しい嫌悪感を抱いた。



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