秘密のランチな関係前編_1

ウィンナーのヒマワリに寄り添うウサギやヒヨコ。
小さなウズラとプチトマトのキノコ。

それはさながら小さな絵本のような世界だった。

うん、なかなか可愛らしい。
……その弁当を手にしているのが≪1人楽しすぎる男≫と若干不名誉な称号を持つ、少しキツイ顔立ちの成人男性じゃなければ…。







「それどう見ても彼女の手作りやんなっ?!
1人楽しすぎる” プーちゃんがっ?!
プーちゃんと言えば1人、1人と言えばプーちゃんなのにあかんやんっ!!」

それはイギリスで開催された世界会議のランチタイム。
ドイツの補佐として出席していたプロイセンが、一緒に食事を…と言う悪友達の誘いを断ってその場でランチボックスを開いて見せれば、絶叫する悪友達。

別にフランスお兄さんだってその気になれば居るよ?
作ってくれる子も見つけられるよ?
と思いつつも、そのランチの愛らしさを見るに、相手の可愛らしさも見て取れる。

ランチは作ってくれたとしても、ここまで凝った可愛らしいものをというと、果たして作ってくれる相手は見つかるだろうか……

いや…自分が作った方が早いかもしれない……愛の国のプライドにかけて絶対に言葉には出さないが、フランスが秘かにそう思ったくらいだ。


前回の世界会議の時にもドイツに随行していたがそんな素振りはなかったように思うので、この1カ月くらいの間にと言う事か?

1人楽しすぎると言われていた悪友にとうとうそんな可愛らしいランチを持たせてくれるような恋人が出来てしまったらしい…

そう思うと、それまでゲルマン系の恋愛に関する不器用さを笑っていたラテンズは地味に面白くない。



「どんな子?
愛の国のお兄さんがアドバイスしてあげるから、紹介しなさいよ」
と、フランスが、

「相手の子のためにも親分に紹介した方がええんちゃう?
いや、それで相手の子も目ぇ覚めてもうたとしても、親分のせいちゃうけど…」
と、スペインが、それぞれ言いたい放題言ってくれるが、スルー。

まあ実は思い切り誤解なわけだが、それは敢えて解かない。
プロイセン的には解いても問題ないわけだが、秘密にする約束なのだ。


――特定の親しい相手と他の人間が知らない何かを…秘密を共有したい…

そんなバカバカしくも子どもっぽく可愛らしい願いを打ち明けてきたのは、他に甘えることが非常に苦手でしたことのない、普段はしっかり者の同僚なのだから。



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