ギルベルトはそれを指し示して言った。
「まず3通の脅迫状から。
まずサッカー部の候補者のモノ。
おそらく本人と…あとは松永さんの指紋がついています」
「当たり前だろう!俺がお前に渡したんだっ!その時についたにきまってるだろう!
そんな事で犯人にされては敵わん!」
松永がムスッというのにギルベルトは
「そうですね。そこでついてないとか言う方が怪しいです」
と淡々とうなづいた。
「これでわかっただろう!じゃあ…」
という松永の言葉を完全にスルーしてギルベルトは続けた。
「他の部に届いたモノに関してはおそらく発見した部員とその他数人のそれを見た部員達の物らしき指紋がついてます。
ということで脅迫状はいいとして…問題はカード。
2回目にアーサーの方に届いたのは一緒に住んでるアントーニョと本人、そして黒河先生の指紋のみなんですが…最初に届いた方には何故か本人とアントーニョと黒河先生以外にもう一人…そのカードを盗み見た時についたありえない人物の指紋が残っていたんですよ。
おそらく…脅迫状に関しては気を使ったんでしょうけど、まだ殺害計画をきっちり練っていなかった頃に触れたものにはそれほど気をつかってなかったんでしょうね…松永さん。」
ギルベルトの言葉に松永は唇を噛み締めてうなだれた。
「…嫌な男だとは思ったが…ホントに貴様ほど嫌な男に会った事はないぞ…」
その言葉にギルベルトは苦笑した。
「俺じゃありませんよ。日本の警察が優秀なだけです。俺は今回サディクさんの代理です」
「…この大嘘つきめっ。地獄に堕ちろ。」
「あんな事言われてるで?」
シン…とした沈黙をアントーニョのクスクス笑いがやぶった。
そのアントーニョの言葉にアーサーが真剣な顔で言う。
「大丈夫っ。俺がちゃんと天国に行けるようにマリア様にお祈りをしてやるからっ」
その真剣な語調の言葉に
「頼むな、真面目に…。思い切り頼りにしてるから」
と若干情けない声を出すギルベルトに吹き出す一同。
結局その後、警察に連行された松永は最終的に、後輩であるサッカー部の候補者と関係を持っていたこと、上司の娘との縁談が持ち上がり別れ話を持ちだして揉めたため、殺害を目論んだことなどを自供したらしい。
こうして”ファントム”騒動は幕を閉じた。
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