温泉旅行殺人事件アンアサ 前編_3

基本離れは二人用なので組み合わせに悪友3人は若干もめたが、結局、慣れてる方が気を使わないからというアーサーの鶴の一声でアントーニョとアーサー、フランとギルの2対2に分かれて母屋から徒歩2~3分の離れへ落ち着く。
そしてそれぞれ荷物を置いて落ち着くともう3時半だ。

(露天…5:00だから母屋出るのが4時半くらいかぁ…。あと1時間くらいじゃ無理やんな。
あわただしいのもかなわへんし。戻って6時過ぎ。
夕飯が6時半からで8時から花火見えるって旅館の人言うてたからそれ見に行って…。
ムード盛り上がったとこでか…)
楽しげに部屋を見回っているアーサーを背にもう頭の中は二人きりの夜の事でいっぱいなアントーニョ。今日の予定をたてている。

「なあ…なんで女物の浴衣まであるんだ?」
女性だけのサービスのはずの部屋の名称にあわせた模様の浴衣を手に不思議そうに首をかしげるアーサーから、アントーニョはひょいっとそれを取り上げると、
「あーちゃんに着ろいうことやで」
とにこやかに言う。
「ふざけんなっ!そんなに着たきゃトーニョが着ればいいだろっ!」
とアーサーが膨れると、アントーニョは
「ほなジャンケンなっ」
と右手を出した。
「へ?」
「負けた方が着るっ!」
「本気か?」
「本気やで~」

結果……

「似合う!めっちゃかわええわ~♪」
花火の間にちなんだ花火模様の浴衣を着たアーサーをご機嫌で抱きしめるアントーニョ。
「…もういいだろ……」
赤くなってプルプル震えるアーサーに
「あっか~ん!!ジャンケン勝負は神聖なモンやでっ!」
と、アントーニョは宣言すると、
「見せびらかしにいこっ!」
と、ひょいっとアーサーをそのまま抱き上げる。

「ちょ、待てっ!!外行く気かっ!!」
慌てるアーサーに構わずさっさと草履を履いて外へ出るアントーニョ。
「おろせ~~!!!」
と叫ぶのもスルーで隣のギルベルト達の離れへ。

入り口で声をかけると
「いらっしゃ~い!」
と、出迎えたのはフランシス…離れの名称にちなんだ蝶の浴衣を着た……。

ぷ~~~!!!と吹き出すアントーニョ。
「やっぱ、ジャンケンで着るの決めたん?!」
けらけら笑いこけながら言うが、続いて出てきたギルベルトは眉間に縦ジワ。
「いや、こいつ自分から着てやんの」
と小さく首を横に振った。

そしてギルベルトはうつむいていた顔をあげた瞬間

「うぉぉ~!!なんだよ、それ!!アーサーめちゃ似合うな!!トーニョ、交換しようぜ!!」
「いやや~!あーちゃんは俺のやもん!」
「そう言わずにっ!なんだよ、小鳥みたいに可愛いじゃん!!」

「かわええやろ~♪このまま露天行くで~!」
「ふざけんな~~!!!」
宣言するアントーニョに怒鳴るアーサー。

しかしそこで
「いいじゃん♪お兄さんもこれで行くからさ~。アーサーも行こうよっ」
と、フランがひらひら蝶のように手をはばたかせながら言うと、
「「お前は着替えろ!」」
と、アントーニョとギルが声をそろえた。

しかし結局…フラン以外全員が押し切られた…。

「勝負は勝負やでっ!あーちゃん約束やぶるん?」
と言うアントーニョに押し切られる形でアーサーが
「お兄さん一緒ならアーサーも恥ずかしくないでしょ?」
と言うフランにアントーニョとギルが押し切られ…結局そのままの姿で露天に行く事に…。




0 件のコメント :

コメントを投稿