対面
二人が部屋から出て行くと、スペインは再びベビーベッドに目を向ける。
そこでは双子の赤ん坊の片割れが、あうあう可愛らしい声をたてながらぼ~っとスペインに目を向けている。
白い人形のような小さなてのひらをソっと人差し指でつついてみると、きゅうぅっとその指をつかむのが可愛らしくも微笑ましい。
「自分…めっちゃ可愛えなぁ…。」
クスクス笑いながらスペインはその小さな体を抱き上げた。
ロマーノを引き取ったのは幼児くらいの時だからこんなに小さな赤ん坊を育てるのは初めてだが、生まれる前からしっかり父親教室を開いてもらったせいだろうか、意外に危なげなく抱っこできている気がする。
子どもというものはそれだけで可愛らしいものではあるのだが、この赤ん坊は他人ではないのだ。
自分とイギリスの血を分けた子ども…。
この子の中には自分とイギリスの血が受け継がれているのだ。
そう思うと、嬉しくて愛しくて堪らない。
「…双子…なのか…」
スペインが片方の赤ん坊と戯れている間に目が覚めたのか、イギリスが自分の横に寝かされている赤ん坊のふわふわの髪をなでながら、そうつぶやいた。
「そうやで~。なあ、顔立ちはアーティーにそっくりやけど、目が親分と同じ色や。
ほんまにほんま、俺ら両方の血を受け継いどるんやなぁ…。親分感動してもうた~」
ほら、3人そっくりやで~と、スペインは自分の抱いていた赤ん坊を反対側のイギリスの
隣に寝かせて3人並べて笑う。
その笑みは本当に本当に幸せそうで、ああ、この男は心の底から本当に赤ん坊を望んでいたんだな…と、イギリスは今更ながらに思った。
それを裏付けるように、感極まったようにポロポロ泣きながら笑うスペイン。
「アーティー、ほんまにおおきに。
親分な、一生分を100倍くらいした幸せを一度にもろうた気分や。
ほんま…自分の一生の中でこんな嬉しい瞬間があると思わなんだわ。」
自分と子ども達は何があっても守ったるからな…と、真剣な顔で口付けるスペインに、イギリスも幸せをかみ締めた。
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