アーサーと魔法のランプⅩ-世界の愛は君のもの2

「イギリス、帰りに……」
「あ、帰りは俺と新しく出来たカフェにパフェ食べに行くんだよねぇ♪」

通常運転で肩に手をかけようとしたら、スルリと間に入ってくるイタリアに、フランスは一瞬ぽかんとして、それから苦笑する。

「それは…アレだよね?今カップル限定キャンペーンやってるとこだよね?
と、確認すると、イタリアは
「さすがフランス兄ちゃん、詳しいね♪」
と、言いながらも、しっかり恋人を抱きしめている。

欧州会議後の会議室のやり取りだ。

結局しばらく女の姿を楽しもう…という事になったらしく、公の仕事は兄達がやるものの、たまにイギリスも会議などに出席することがある。

イタリアが出席するもの限定だが…。

あれほど弟を影で溺愛しているイギリスの兄達も、自らがもう一人の弟のように甘えて頼ってみせるという超裏技を使ったイタリアに取り込まれ、UK兄達とイタリアのタッグでしっかりと守られたイギリスに手を出せる猛者は現在まで現れない。

というか…他の奴なら敵対心をむき出しに打倒を目指す事ができたとしても、イタリアとイギリス二人でホワホワしていると、なんとも闘争心をそがれてしまうというか…スペイン風に言えば『楽園やなぁ』ということで、チャレンジしてみる気もしなくなってしまう。

挙句にスペイン命名でついたあだ名が【天使組】。

イタリアは伝染するという噂通り、イギリスは多少のツンの部分を残しつつもなんだか角が取れて、しかもイタリアと一緒にいると日本といる時同様警戒心が薄れるのか変に肩に力が入らずふんわりとした笑みを浮かべる事が多くて可愛らしい。

遠目で見ていると二人セットで可愛くて、二人揃って嫁に来ないかなどと冗談交じりに言ってみたりするのだが、さきほどのフランスのように、イギリス個人に声をかけようとすると、イタリアがさりげなくやんわりと壁を作る。

その目は…他は気づかないが、恋人に近づこうとする他の男を見る、紛れもなく男の眼だ。

へたれへたれと言われつつさり気なく未だにそこそこ大国であるイタリア。
柔らかく弱々しく見えて、実は強かなことに気づいている国はどのくらいいるのだろうか…と、フランスは内心苦笑する。

「イギリスは俺のだからね~。手だしちゃやだよ?フランス兄ちゃん」
ふんわり柔らかい笑顔でそう言うイタリアの様子に、各国微笑ましいと笑みを向けているが、その笑顔の中で目だけが笑っていないのに気づいているのはたぶんフランスだけだ。

「はいはい。じゃ、イタリアには手を出していいのかな~?」
と、さり気なく茶化して
「いいわけないだろっ!ばかぁ!!」
というイギリスの罵りの言葉と共に顔面にカバンの洗礼を受けて、ようやくその怖いタゲを外してもらえたらしい。

「イギリス~、ほら、早くぅ~」
と、イタリアはフランスから視線を外して、イギリスに向き直った。




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