新婚夫婦の寝室拝見
ソロ~っとドアを開けると広い寝室。
全員なぜか日本が持ち歩いていた暗闇でもばっちり見える赤外線付きの双眼鏡を持っている。
寝室の奥に見えるスペインの広いベッドに目を向けると、こちらに背を向けて眠るスペインの影が見える。
4人が恐る恐る近づいていくと、スペインの腕の中に抱き込まれているイギリスの姿。
その、スペインの懐でしっかりスペインに抱きつきながらすやすやと安心しきったように眠る様子に、
「驚いた…。あの野生動物みたいな坊ちゃんがこんなに近づいても起きないのって初めてだよ…。」
とベッドから30cmくらいのところまで近づいてベッドを覗き込んだフランスがつぶやいた瞬間…
「…なにもんやっ!」
と、壮絶な殺気を含んだ低い声と共に伸びてきた手が、瞬時に避けた3人に取り残されたフランスの頭をミシっとつかんだ。
そこで
「…んぅ…ん……」
と、半身起こそうとするスペインの胸にむずかるように頭をすりっとすり寄せるイギリスに、スペインは
「なんでもないで…。寝ててええよ、アーティー。」
と、少し表情をやわらかくして優しい柔らかい声で言った。
そして、フランスの頭をつかんでる手と反対側の手でまだ眠っているイギリスの頭をソっとなでると、自分のパジャマの胸元を眠りながらもしっかりつかんでいるイギリスの手を外す。
それからイギリスから離れて起き上がると、
「スペイン帝国の寝所に忍びこむなんて、ええ度胸やな。…誰に頼まれたん?
素直に話せば楽に殺したるわ。
話さんかったら…死んだほうがましや言うくらいの目にあうで?」
と、ミシっと頭をつかんだ手に力を込め、そのまま手を上に上げて頭をつかまれたフランスを宙に吊り上げてニヤリとゾッとするような黒い笑みを浮かべた。
「ちょ…なんだかスペインのキャラが違うんだぞっ!」
思わずプロイセンの後ろに隠れる超大国と、
「これは…いわゆる帝国黒分ですねっ!
愛しい妻に対する優しさと慈しみあふれる態度と不審者に対する情け容赦ない態度!
180度違う対応!
ああ、萌えます!!」
と、脳内フランスの命より冬コミのプロットが占めているらしい日本に、プロイセンは頭痛を覚える。
ああ…まずい。
これはスペイン自身半分寝ぼけて現役時代に戻っている…。
このままでは本当にフランスを殺す…ことは国だからできないまでも再起不能にくらいはしかねない。
一瞬これを鎮めるのにイギリスを起こそうかと思ったが、非常に殺気立っているスペインを前にイギリスに対して害意がなかろうとアクションを起こすのは諸刃の剣だ。
しかたない…。
「とりあえず…日本、この坊主頼んだわっ」
と、アメリカがつかんで離さない自分の上着を脱いでそれごと日本にアメリカを預けると、プロイセンは意を決して二人の方へと飛び込んでいった。
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