イギリスさんが頭を打ちました
「これ…どないしよ…」
スペインは世界会議後の控え室でため息をついた。
目の前にはソファ…に寝かせたイギリス。
その額には大きなたんこぶ。
そして…その原因を作ったのはまぎれもなく自分だ。
今回の会議はイギリスで、いつものように会議中に内職をしていたらドイツがキレ出した。
まあそれはいつものことだが、EUも色々厳しくてドイツもその対応に追われて疲れていたのだろう。
それをスルーしていたら、そのようなことでは今後スペインに対する対応を考えざるを得ないと言われた。
そこでスペインもさすがに今日は内職をやめておこうかと手を止めかけたとき、主催国のイギリスにスイっと内職道具一式を取り上げられた。
「とりあえず、これは会議後まで俺が預かっておく。それでいいだろう?ドイツ」
と、イギリスはそのまま自席へ。
「ああ、頼む。イギリス。」
と、その対応にドイツも満足げだ。
「ちょ、待ってや、今やめようとしてたとこやのにっ!」
と、スペインはムッとするも、どう考えても会議中に内職をしていたスペインが悪い。
当然だが誰も味方をしてくれるはずもなく、一言二言揉めたものの、最終的に
「会議中にやらないのなら、手元になくても問題はないだろう?」
とのドイツの鶴の一声で諦めざるを得なかった。
こうしてスペインは内職をしていなくてもどうせ聞いてない踊る会議を脳内で歌を歌いながらやりすごして、会議後、内職道具を返してもらおうとイギリスを探し回った。
だが、これが主催として後片付けに追われてあちこち移動していてつかまらない。
だんだんイライラしながらドアをあけまくり、丁度今いる部屋のドアを乱暴に開けた瞬間、ゴツッ!と鈍い音と共に衝撃があって、開けたドアの先にイギリスが倒れていた…と、そういうわけである。
(ああ…もしかして内職の道具これで返してもらえへんかもしれへん…)
それでなくてもイギリスとは仲が良いとは言いかねる。
過去のいざこざからイギリスはスペインを嫌っているし、スペインも自分に対してだけでなく3枚舌外交を繰り広げつつ力をつけてきたイギリスがどうも苦手だ。
スペインとイギリス、双方の隣国である悪友のフランスなどは、そういうところは国の政策なだけであって、本人はプライベートでは不器用なお子様だというのだが、あれはそんな可愛らしいものではない。
絶対に根性が捻じ曲がっているのだと思う。
不器用な子どもなどといっては不器用な子どもに失礼だ。
これをネタに脅されるかも…とまで考えて憂鬱になる。
いっそ内職道具を諦めて知らん振りして帰ってしまうのも手だが、それがばれたらあとでどんな無茶を言われるかわかったものではないし、怖くて出来ない。
そんなわけで、スペインは今、戦々恐々としながら、イギリスの意識が戻るのを待っているわけなのであった。
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