「なにこんな場所に不時着してんだよっ!」
フェリシアーノ達の滞在しているらしい“ねこのみみ亭”のあるイーストタウンから少し離れた田舎町の街外れで、ロマーノは思い切り不機嫌に眉間にしわを寄せた。
結局フェリシアーノの不穏な発言だらけの手紙を受け取って心配になったロマーノは、1年間社会勉強をしてくるという置手紙を残し、ギルベルトと小鳥さんの背に乗って海を越えて大陸へ向かったのだが、もともと力がもう本当に残っていなかった小鳥さんは途中で力尽きたらしい。
地面まであと1mほどのところでいきなり元の大きさに戻ったので、二人して落下したというわけだ。
「まあいいじゃねえか、着いたには着いたんだし。北の国周りで船だったら数週間かかってるぜ?」
立ちあがってぱんぱんと埃を払ったギルベルトはそう言っていまだ座り込んでいるロマーノに手を差し伸べる。
「…こっちは急いでるし、しかたねえな。フェリシアーノが犯罪者にならねえうちに捕まえねえとだし、アーサーも保護してやんねえとだしな。」
とロマーノはその手を取って立ち上がった。
「お前さ、意外にあれだよな、使命感に燃えやすいタイプ?」
ケセセっと笑って放り出された荷物をかき集めるギルベルト。
「放置で平気なら面倒な事しねえよっ。でも自分の周りが性犯罪者だらけとか普通に嫌だろうがっ。」
「いや…同意っつってんじゃん。お日様はさ。」
「だから、“強引にやったけど”ってつく同意ってなんだよ?」
ロマーノも荷物を拾いあげると、ため息をついた。
「あ~…それは……」
「とにかく、事情聞くまでは安心できねえ。つか、フェリシアーノはすでに襲う気満々だしな。いいから行くぞっ!」
ロマーノはカバンを担ぎあげると、街の方へと先に立って歩き始めた。
「こっちはうちの国より随分さみぃのな。」
島の中ではかなり暖かい南西育ちのロマーノにとっては、大陸はずいぶん寒く感じるようだったが、こっそり北や東を転々と渡り歩いていたギルベルトにしたら、やや肌寒いとは思うものの、そこまでには感じなかった。
「これ、着ろよ。」
そこで羽織ってたマントを差し出したが、ロマーノはそれを手で制した。
「イラね。気持ちだけもらっとく。」
「俺寒くねえから、着れば?」
さらに勧めたがそれにもロマーノは首を横に振った。
「いや、当分こっちいるからな。こっちの気候に慣れねえと…」
「へ~…」
ロマーノの言葉にギルベルトはぴゅ~っと口笛を吹いた。
「あんだよ?」
不機嫌に振り返るロマーノ。
「いやいや、怒んなよ。感心してんだからよ。」
「感心?」
怪訝そうに眉を寄せるロマーノに、ギルベルトはニカっと笑みを見せてうなづいた。
「甘やかされて育ったはずなのに、お兄さま意外にしっかりしてんだなってな。」
「ああ?馬鹿にしてんのかよっ」
「してねえって。マジ。人ってさ、厳しい環境だとそりゃしっかりするしかねえわけだけどな、甘やかしてもらえる環境でしっかり出来る奴って本気ですげえよ。」
ギルベルトの言葉にロマーノは小さく息を吐き出した。
「あのな、甘やかされんのと、呑気に構えてられんの違うからな。
わりぃけど、俺おまえよりよっぽど貧乏な育ち方してるし。
俺がガキの頃食ってた食べ物は、俺と5歳くらいしか違わねえガキのアントーニョが畑で作ったか、畑で取れた物を村で交換してもらった食べ物だ。
さらに言うなら、俺が7歳くらいになって金かかるようになった頃には、手っ取り早く稼ぐために、アントーニョ戦場出てるしな。
そういうの日常的に見てっとな、こいつ倒れたら俺終わりだなとかガキでも思うわけだ。
嫌でもしっかりはするぞ。」
「あ~…わりぃ。なんか俺上から目線だったかもな」
「まったくだ。」
と言葉では即答するが、ロマーノはそう腹を立てている様子もない。
ただ、なんとなく昔に思いをはせる。
「まあ…俺は城出されてあいつのとこで育てられて良かったとは思ってんだけどな。
別に甘やかしてもらったからとかじゃねえぞ?
なんつ~か…誰かが苦労して自分育ててくれてんだって、すげえわかる環境だったからな。
親はなくとも子は育つなんて言うけどよ、実際は親じゃなくてもいいが、代わりの誰かいなきゃ人間のガキなんつ~もんは育たねえんだよ。確かに誰かの犠牲の元に俺は育ってるし、俺もいつか誰かのために生きようって思えるっつ~か…俺の場合誰かってのは国になるんだろうけど。ま、諦めつくよな。」
まっすぐ視線を前に向け、黙々と歩きながら語るロマーノ。
「お兄さま、本当に良い育てられ方してんよな。お前が未来の王様で良かったわ、マジ」
「おだててもなんにもでねぇぞ。」
「え~?残念」
重くなりすぎないうちにどちらともなく軽口で終わらせるのもいつものことで、どちらも特にはきにしない。
「あ~、良い天気だよなっ」
と、最終的にギルベルトが〆て二人はまた歩き始めた。
「俺様あれからまた調べたんだけどよ」
ふいにまたギルベルトが口を開く。
「ああ?」
「カトル・ヴィジュー・サクレな、あれ炎、水、風、土の4つの欠片に分かれてるらしいんだわ」
「ほ~?」
「でな、それぞれ炎は力、水は癒し、風は移動、土は守りを司ってて、それぞれ身の内に取り込むと、その力を得られるんだと。」
「へ~、じゃあ別に4つ集めなくても良いっつ~か…むしろ別々に持ってた方が良くねえか?」
「…って思ったんだけどよ、力使えるのは宝玉自体に適応したこの世にたった一人の”選ばれし者“が側にいて力の解放を促した時限定って事だから、そいついないとただの石っころ。」
「世の中そうそううまい話なんて転がってねえってことか。」
「ま、そういうことだな。お、そろそろ街中だから、話題気をつけねえとな」
イーストタウンよりはだいぶ小規模ながら、それなりに露店の建ち並ぶ街の中心部についた二人は、今夜はここに宿を取り、明日にイーストタウンへの馬車に乗る事にして、とりあえず夕食代わりにと露店で軽食を漁る。
二人分のハムとチーズの入ったパニーニと野菜と肉の串焼きを手に、適当なベンチに座るロマーノをまじまじと凝視するギルベルト。
「あんだよ?」
ロマーノがギロリと座ったままにらむと、ギルベルトはぶんぶんと首を横に振って自分も二人分のラテを手に隣に腰をかけた。
「気味悪いから言いたい事あるなら、言え」
「いや…普通に普通の事してんだなと思ってさ。」
「ああ?意味わかんね。」
「お兄さま皇太子じゃん。でも普通にこんな庶民の食いモノ食うんだなと。」
ギルベルトの言葉にロマーノはまた長い長い溜息をついて、がっくりと肩を落とした。
「だ~か~ら~、言ってんだろうがっ。俺は貧乏な家庭育ちだって。これだって俺にしたら立派な外食だぞ、外食っ。普段街なんか行っても大抵アントーニョが作った弁当持ちだ。露店で好きに買えるような金なかったし。」
「すげえな。それがいまや皇太子だもんな。つか、本当は社会勉強要らねえんじゃね?」
「護身って意味ならちょぃ必要かもしれねえけどな。
庶民の生活なんざ当たり前すぎて、むしろ貴族の生活の方が落ち着かねえよ。
つか、王宮の飯とか無駄多すぎて突っ込みいれたくてうずうずする。
食える分だけ用意しろ、せっかく作ってもらったもん平気で残すな、平気で捨てるなんざ農家や猟師に土下座して謝れ、朝に残ったもんなら昼に食えとかな…。
俺んちなんて、夕食の残りを具にしたエンパナーダが翌日の飯なんてしょっちゅうだったし。それさえも贅沢な方で、下手すると飯がその日に畑でもいできたトマトだけとか言う時もあったぞ。」
そう言いつつベンチに置いたパニーニに手を伸ばそうとしたロマーノは、ベンチの背もたれの間から小さな小さな白い手がやはりパニーニに向かって伸ばされている事に気づいて、ベンチの後ろを覗き込んだ。
「ああ?どした?」
そのロマーノの様子にギルベルトは同じくベンチの後ろに視線を向け、そこに小さな存在を認めると、舌打ちして剣に手をかけた。
「ロマーノ、どいてろっ!」
鋭い声で指示をするギルベルトに、その小さな手はぴゅっと引っ込んで、その手の持ち主である小さな子供はプルプルと震えながら首を横に振った。
「僕…僕、ごめんなさいっ!お腹すいてて…」
涙をたたえた大きなブルーの瞳を見降ろして、ロマーノは間に入った。
「お前、パニーニくらいでガキに剣抜くな」
「そんなんじゃねえよ!」
「じゃ、なんだ?」
「そのガキ…こんなに近くにいるのに全く気配感じさせなかった。ただもんじゃねえ!!」
そう言われてみれば…と、ロマーノも改めて子供に目を向ける。
ふわふわのプラチナブロンド、長いまつげに縁取られた大きな青い瞳。
柔和な可愛らしい顔立ちは女の子のようにも見えたが、“僕”という言葉からすると男の子なのだろう。
「おい、お前、親は?」
とりあえずギルベルトの事はスルーして、ロマーノは子供を抱き上げてベンチに座らせて聞いた。
「い、いません。僕、弟と二人で住んでたんだけど、喧嘩して弟が全部色々持ってっちゃって…ごめんなさいっ。泥棒はいけないってわかってたんですけど、ずっと何も食べてなくて…」
ぎゅぅっと目をつぶってそう言う子供の言葉を裏付けるように、グゥっと小さな腹の虫がなく。
ロマーノはクスリと笑うと、パニーニを手を汚さないように紙に包んでその小さな手に握らせた。
「…?」
子供が大きな目で見上げてくるのに
「熱いから気を付けて食えよ」
と、注意をうながす。
子供はごくりと唾を飲み込んでパニーニとロマーノを交互に見ると、
「でも…」
とおずおず口を開いた。
「僕、お金とか全然持ってないんです。お礼できるようなものも何も…」
「いいから食え。冷めるぞ」
子供の言葉を遮って、ロマーノがその小さな手を取って口元へ持って行くと、子供は一瞬ごくりと唾を飲み込んだ後、ものすごい勢いでパニーニにかじりついた。
「お~い、俺様無視?」
その様子にしかたなしに剣を収めて近寄ってくるギルベルト。
「こんな小さなガキに剣むけるような奴は無視だな、とりあえず」
「ひでえ」
相変わらず視覚的にはそこに確かに存在するのに、気配がしない。
しかしもう視覚的に認識されている時点で意図的に気配を消す必要もないので、おそらくそれはこの子供が意識的にやっている事ではないのだろう。
そう判断してみると、見た目はただの邪気のない子供である。
よほどお腹がすいていたのか、慌てて詰め込み過ぎて喉につまらせているので、
「ほら、飲め。」
と、ギルベルトもラテを差し出すが、それはスッとロマーノに取り上げられた。
「ちょっと待て。そのままじゃ火傷すんだろうがっ。」
と、ラテのふたをあけると、ロマーノはフーフー冷まして適温になった事を確認して子供に渡してやる。
ギルベルトはほぉ~っと感嘆の声をあげた。
「慣れたもんだな。ガキ育てた経験もありか?」
聞いてみると、もう片方のラテをすすりながらロマーノが答える。
「いや、育てられた経験だな。ガキは目の前にあるもんにすぐ手出すからな。俺が手出して火傷する前にアントーニョがこうやって冷ましてた」
「すげえな…俺もルッツには勉強や武術は教えたけど、そういう基本的な事はメイドだったし…」
「…これだからお貴族様はっ」
「…はい、申し訳ありません。」
どっちが王族なのかわからない。
二人がそんな会話をしている間も子供は黙々とパニーニを胃に詰め込んでいる。
ちっちゃな体のどこに入るのかわからないが、勧められるまま二人分のパニーニをぺろりと平らげ、こくこくと程よく冷めたラテを飲み干すと、ふ~っと満足げにため息をついた。
そのお腹いっぱい満ち足りた笑顔に、大人二人思わず釣られて顔がほころぶ。
「ご馳走様でした。」
と、行儀よく小さな手を合わせる様子も愛らしい。
きちんとしつけられた家の子のようだ。
「お前、家は?送ってやるよ。そろそろ暗くなるし。」
実はこちらも秘かに子供好きなギルベルトがそう声をかけると、子供はちょっと困ったようにポワポワした金色の眉をハの字に寄せた。
「家出とかダメだぞ?親はいなくても保護者はいんだろ?心配してるぞ?」
4,5歳くらいだろうか。
まだまだ小さい子供である。子供だけで暮らせるはずはない。
そう思って言うと、子供は少し迷ったように考え込んで、それから
「あの…信じてもらえるかわからないんですが…僕もう300歳にはなってるんです」
とおずおずと切り出した。
「あ~、嘘つくなら…」
という呆れたようなロマーノの言葉を
「チョイ待て。」
とギルベルトは遮った。
「お前もしかして“人間”じゃないんだよな?」
と今度は子供の方を向いて言うギルベルトの言葉に、子供は少し驚いたように目を見開いたが、すぐにコクンとうなづいた。
「はい。僕と弟は…300年くらい前に東の島から来た魔術師に作られた魔法生物なんです。」
「はあ?」
「やっぱりそうか。」
とロマーノとギルベルトはそれぞれ反応を返した。
そして不思議そうな視線を向けるロマーノにギルベルトが説明する。
「いや、な。お兄さまはあんまそういうの気にした事ないかもしれねえけど…普通の人間にしてはこいつ妙に存在感ないんだよ。あるべき気配がないっつ~の?
俺はそこそこ戦場とか危険な場所も渡り歩いてきたから、無意識に周りの気配って気にしてるんだけど、さっきもこいつがあまりに気配ないもんで、何か意図があって消してるもんかと思って警戒してたんだよ。
でもこうして見えて話してる時点で、姿隠してないわけだから、意図的に気配消す意味ないだろ?
だからこいつは普通に人間なら当然あるべきものがないってことなんだ」
「ほ~?」
ギルベルトの説明を聞いてロマーノが視線を子供に向けると、子供はうんうんとうなづいた。
「はい。僕達のマスターは僕達を限りなく人間に近いモノとして作ったんですけど、僕達は“生きている”んじゃなくて“動いている”に近いんです。
例えば機械とかは動いている時は存在を認識されるけど、ただ動かずそこにある時はしばしば存在を忘れられるじゃないですか。そんなイメージと捉えて頂けるとわかりやすいと思います。」
にわかには信じがたい話ではあるが、確かに今話している事自体が、4,5歳の子供の言葉ではない。
ロマーノもうなづくしかなかった。
「で?そのマスターは誰で、なんでお前らを作ったんだ?」
ロマーノが納得したところでギルベルトがうながす。
「えと…元々マスターは東の島でカトル・ビジュー・サクレという宝玉を守護している魔術師の一族の一人でした。
で、ご存じかもしれませんが、その宝玉は当時、その一族の内通者を含む、その力を欲した4人の人間によって4つの欠片に分かれた状態で大陸にもちこまれたんです。
で、マスターはそれを追いかけて大陸に渡って来たんだそうです。
僕達はマスターがその4人を探すための助手としてマスターに造られました。
マスターは魔法に関してはすごく優秀な魔術師だったんです。
でも知る人もいないこの広い大陸でバラバラに逃げた4人を探す術なんてありません。
しかも他にも4人を追ってきた一族の人達が無差別に魔法で攻撃して大陸の人に4人を差し出させようとかしたんで、一族の者であると言う事を隠して生きないといけなくなったんです。
そんな状態でしたから僕達を造った時にはマスターはもう故郷に帰れないって言う事を知ってたんですね。
だから寂しさを紛らわしたかったのかもしれません。
マスターは故郷に残してきた自分の双子の弟達に似せて僕達を造ったみたいです。
マスターは優秀な人だったから植物の原理で光合成と水くらいで命をつなぐ魔法生物も造れたはずなんですが、僕達はあえて人間と同じ食べ物を糧に動くように造られ、人間の親が人間の子供を育てるように育てられてきました。
本当は宝玉を探す道具として造られたはずなのに、マスターは僕らの事をとても可愛がってくれましたし、僕も弟もマスターの事が大好きで…でもマスターは人間だったから僕らと同じ時を歩む事はできなかったんです。
もちろんマスターには僕らの時を止める術もあったと思うんですが、それをしなかったんです。生まれてからずっとマスターのためだけに生きてきた僕らに、せっかくこの世に生まれてきたんだから自由に外に出て楽しい経験をいっぱいしろって。
それでも僕らはマスターと生きる以外、どうしたらいいのかわからないって言ったら、人間は死んでもいつか生まれ変わるから、そうしたらまた会おうって。
その時にはまた生きている間家族として暮らして、また死んだらそれぞれすきにして、また生まれ変わったら一緒に…そうやって繰り返して行こうかって。
だから僕達はずっとマスターと暮らした家でマスターを待ってたんですけど、アルが…あ、弟なんですけどね、『ここで待っててもあの人抜けてるから戻ってこれないんだぞ。俺はあの人を探しがてら、ついでにあの人が探してた宝玉も集めておいてあげるんだ!』って、止めるのきかずに出て行っちゃって…。それはいいんだけど、ありったけの畑の作物を容赦なく掘り出してお金にして、コツコツ貯めてたお金も全部持って行っちゃったから、僕暮らせなくて…」
「…そりゃあ泣いていいんだか呆れていいんだか怒っていいんだかわかんねえ話だな」
最初は少し目を潤ませていたギルベルトが、最後のオチに複雑な顔をした。
「ほんっとに昔から自分勝手なんですよ、アルは!」
ぷんぷんと頭から湯気を出す様子も可愛らしいわけだが、これが本当なら関わってしまった以上放ってもおけない気はする。
なによりこの子供は…カトル・ビジュー・サクレに関わっているらしいというのもある。
「あ~、実はだな、俺の馬鹿弟も訳あってそのカトル・ビジュー・サクレを探しに東の島から大陸にきてんだよ。それで俺は暴走気味の弟のストッパーになりに追ってきたわけなんだが…同じモン探してんなら、いつかお前の弟に会う事もあるかもしれねえし、俺らと一緒にくるか?」
「いいんですか?」
ロマーノの言葉に子供はホッとしたように顔をあげた。
「ああ、俺はロマーノ。で、こっちの馬鹿がギルベルト。お前は?なんて呼べばいい?」
ギルベルトの意見は聞かないらしい。
「俺様無視かよ…ブツブツブツ」
とのつぶやきも完全スルーだ。
「僕、マシューです。よろしくお願いします。」
ぺこりと丁寧にお辞儀をする子供。
「んじゃ、とりあえず宿探して明日には馬鹿弟達のいるイーストタウンに出発だ」
こうしてロマーノ、ギルベルトに加え、もう一人どうやら弟持ちの兄らしい子供マシューを加えた兄組は、今日の宿を探しに街の雑踏へと戻って行ったのだった。
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