アントーニョが風呂から出ると、アーサーはアントーニョがもらってきてテーブルに置いておいた苺をつまんでいる最中だった。
「あ、出たのか。」
と、ぺろりと行儀悪く指を舐めるしぐさが、あどけないくせに妙に色っぽい。
さきほどの悲壮感が嘘のように、その表情は明るかった。
「あ、あのな、アーサー、さっきの続きなんやけど…」
「うん。とりあえず変な病気とかじゃないなら、まあいいや。」
へ?
「い、いや、あのな。とりあえず適度に溜まったらだしておかんとまた下着汚す事になるで?」
「うん、わかった。」
「わかったって…出し方もわかっとるん?」
「わかんねえけど…ようは溜まった頃また聞けばいいんだろ?
今日でたばかりだし、当分平気だろ。
それより腹減った。食事行こうぜ」
(こ…こういうのフラグクラッシャー言うんやっけ?)
ヘナヘナと机に両手をついてうなだれるアントーニョ。
「どうしたんだ?湯あたりか?」
と聞いてくるアーサーの瞳には一点の曇りもない。
怯えてるとか恥じらってるとかそういう空気も全く感じない。
もう本気で花より団子、色気より食い気なのだ…。
というか…もとより色気という意識さえまだ持っていないのだろう。
このまま自身の手で出してやって、そのままそれを習慣化。
自分がいなければ出せない=自分から離れられなく……などと邪な事を考えていたのが悪かったのだろうか……。
(ああ…もう手強すぎやで、この箱入り息子…
これ、カトル・ヴィジュー・サクレ揃える方が楽なんちゃう?)
と思わないでもないアントーニョ。
警戒心を欠片もみせず、持参していた着替えの服に着替えるためにためらいもなく裸になるアーサーを襲わないように目をそらした先の窓から見えるさんさんと降り注ぐ太陽。
それでも…絶対に諦めへんで!次回こそっ!!
お日様王子の名にかけて!
アントーニョは固く拳を握りしめてそう決意を新たにすると、着替えを終えたアーサーと食事をするために部屋を出たのだった。
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