「ヴェー。俺が話してた時には思い切り信頼しちゃってて大丈夫かなって感じだったんだけど…」
不思議そうにするフェリシアーノ。
そこでルートが言う。
「あー、なんというか…ロヴィーノが訪ねてきた日、陛下がフェリにかかりきりだったからではないか?」
「えー、でも俺怒られてただけだよ?王様今でも俺に怖いよ?」
「そんなのはたから見たらわからないだろう」
「ヴェー……俺のせいなのか……」
「いいや、フェリじゃなくても、人質来るたび滅入るのではないだろうか?
なんというか…結局、陛下がそういう扱いしてるだけで、形としては人質の立場なわけだから」
「あー、そうだねぇ。
女の子と違ってお妃様とか、目に見える形で特別待遇ってできないもんねぇ…。
華奢だからドレス着てもわかんなそうだけど…」
「いっそドレス着させて結婚式あげてみるとかっ!」
ドレスに反応して目をキラキラさせるエリザを、
「趣味に走らないでくれ。公的に認められるわけではないのだから意味はない」
と、ルートがいさめる。
「あっ、いま俺良い事思いついたんだけど…こういうのどうかな?」
フェリシアーノがポン!と手を叩いて、二人に手招きをした。
「…あのね……兄ちゃんにも協力してもらってね………」
「…そんなの上手くいくだろうか?」
「えー、良い案じゃないっ!それ上手くいけばどこぞの色魔のちょっかいもなくなるし…」
「あー、そういう意味ではそうだな…。」
「でしょでしょ?」
「でも当座の場所は?」
「東の塔!今は放置されてるけど、小国に落ちぶれる前は後宮として使ってたらしいわよ、あそこ。
だから許可されない人間は近寄りにくい造りになってるし、西と違って手入れすればそこそこ素敵になるわ。
その辺は任せてっ!気合入れて超特急で準備するからっ!」
「エリザ…こういう事になるとはりきるな…」
「じゃ、俺兄ちゃんに手紙書くから、ルート、それ届けさせてくれる?」
「…もう決定なのか……」
「「うん!!」」
「…上手くいかなかったら…全員詰め腹だぞ?」
ルートは二人を見比べるが、すでにやる気満々の視線が返ってきて、ため息をついた。
「あ~、もうしかたない。俺も協力してやるから、やるなら絶対に成功させるぞ」
こうしてそのルートの言葉で、人質部屋での密談が終わり、3人は3様に準備のために散って行ったのだった。
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