ギル&アーティのとある誕生日の光景1

1月17日の深夜…ギルベルトの大切な大切な恋人様は、そっとギルベルトの腕の中から抜けだして、ベッドの上で起きあがった。

その恋人様が、じ~っと自分を見下ろしている視線を感じるが、寝ているフリをする。

普段なら起きて理由をきくところだが、今回の理由はわかっていた。

明日はギルベルトの誕生日。
そして夕方あたりから、本人は隠しているようだが落ちつかない恋人…とくれば答えは一目瞭然である。

明日の自分の誕生日のために何かサプライズをしたいのだ。
それを起きて台無しにするほど野暮ではない。


恋人…アーサーは孤児で自分の誕生日もわからないし、おそらく祝われた事がない。
だから118日のギルベルトの誕生日に何をすればいいのかわからず、ずっと悩んでいた事は知っている。

そんな子が恋人の誕生日は祝いたいと精いっぱい準備してくれたのであろうサプライズだ。
どんなものでもその気持ちが嬉しいし、その嬉しい気持ちをわかりやすく伝えてやろうとギルベルトは考えている。


そうしてアーサーはしばらくギルベルトが眠っているのを確認していたが、やがてベッドを抜け出していく。

さあ、どうするか…
一瞬悩んだが、ここはいつもの起床時間までは寝たふりを続けるべきだろう。
そう判断して、ギルベルトはそのままベッドで目を閉じていた。

…しかし……


……眠れない…
恋人が深夜に起きているのに、眠れるはずがない。

(なんでいつまでたっても戻ってこねえんだよっ!!)
と、心の中で叫ぶ。

以前いきなり自分の気持ちを誤解されて出て行かれて死にかけられたと言う事があるので、アーサーが自分の目の届かない所にいるのがとても怖い。

あの時は本当に恋人を1人にした事を死ぬほど後悔した。
それ以来、それまでにも増してアーサーを1人にする事を避けるようになった。

だから普段なら5分で戻らない時点で様子を見に行ってしまうところだが、サプライズをと思っているのなら、自分が行ったら台無しにしてしまう。

そんな事を考えてジリジリしながら時間がたつのを待つ…待つ…待つ…
そして…5時!

いつもの起床時間の5時になったのでもう良いだろうと、ギルベルトはベッドから飛び起きて、リビングに続くドアに飛び付いた。




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