なし崩し的に助勢をすることになってしまったが、少なくとも自分は現場責任者ではあっても総責任者ではないはずだ。
自分をまきこんだ責任者にもそれなりに動いてもらおう。
錆兎はそう判断して、その場で真菰に電話をかけて、義勇に凸されてから今までの流れを説明する。
そのうえで言った。
ただし暴走はするな。
俺が指示したことだけをやれ」
ほぼ一緒に育った兄弟のような従兄弟同士とは言っても、真菰の方が年上で、彼女の方が姉貴分だ。
普段ならこんな言い方はしない。
…というか、こんな言い方をしたら顔を合わせた時に殴られる。
だが今回ばかりは立場が逆転している。
真菰が持ち込んで錆兎に中心に動いて欲しいという案件なので、真菰も文句は言わない。
『で?何をしろって?』
と、余分なことも言わずに聞いてきた。
とりあえず真菰に電話をかける前に義勇から錆兎の車を降りてから帰宅し、具体的にどういう風に対応したのかを聞いておいたので、そこから判断した計画を実行すべく、真菰に指示する。
「とりあえず今は出先で可及的速やかにきちんとした場所に移動したいから、説明は最低限にしておくからな。」
『うん、わかった』
「ということで、義勇はさっき帰宅したんだが、今はこっそり家を抜け出して某場所に居る。
で、保護するにも未成年だから保護者の同意が要るだろう?
だから姉に外泊の許可を出してもらいたいんだが、自宅には姉の他に母方の叔父が来てるんだ。
だから姉には義勇はとりあえずしのぶに宿題に絶対に必要なものを教わりに胡蝶家にきていると伝えてほしい。
で、出来れば姉にも胡蝶家に来てほしい。
理由は…未成年一人でこの時間に外出はよろしくないとでも言っておけ。
姉の迎えはお前が車な?
義勇が許可なく家を出たのは、こんな時間だから姉に言えば止められるかもと思ったからということで。
で、胡蝶家に集合。
その後、最終的に俺と義勇は俺達の実家に泊まる」
『了解。カナエちゃん達にはあんたが連絡するのよね?』
「ああ、俺がするから、冨岡姉だけ頼む。
叔父が一緒にいると思うから、大学の友人宅に皆で集まるからと説明しておいてくれ」
『わかったわ』
そんなやりとりのあと、錆兎は今度はカナエに電話。
「例の冨岡姉弟の件で、ちょっと便宜上一瞬だけそっちで集合させてもらっていいか?」
と聞く。
もちろんカナエも元々は自分が持ち込んだ諸々なので快く承諾。
そこまでの下準備を終えて、錆兎は少し安堵したように小さくため息をつき、そして椅子に座ったまま黙って錆兎を見上げている義勇に
「とりあえず先に安全地帯に移動するぞ」
と、手を差し出した。
そうして取った手は2,3歳ほどしか離れていない同性としては驚くほど小さかった、
まあ錆兎は本人はもちろん、幼馴染の杏寿郎も、親友の宇髄も…実はそんな風に見えない村田ですら周りは皆武道をやっていて、手に触れる機会のある同性はごつごつと硬く大きな手をしているのもあるのだが…。
まあ、甘露寺も彼を”子ども”と称していたし、一般的に見ても小柄で華奢なのかもしれない。
差し出された手をきゅっと握る所作もどこか子どもじみていて、保護するのも仕方ないか…と思えるし、むしろ見捨てたら自分が人非人な気さえするので、もう吹っ切れた気がする。
これは…久々の大仕事になりそうだな…と思いつつ、錆兎は義勇を伴って駅を出ると、タクシーを拾って胡蝶家へとむかった。
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