のっと・フェイク!前編_3

体調不良


「なあ…ちゃんと医者に診てもらったほうがええんちゃう?
アーティー顔色悪いで?」

本当の意味で夫婦になって2ヶ月。

数百年来の片思いだったというスペインは何かのタガが外れたように、毎晩のように何度も求めてきたし、イギリスも体力の違いに多少思うところはないでもなかったが、愛されている、求められているという事が何より実感できるその時間が嬉しくて、当たり前に受け入れてきた。

しかしおかげで日々寝不足…それが悪かったのだろうか。
最近眠い。
非常に眠いし怠い。

もちろんイギリスの体調を考えずにスペインが求めてきたりはすることはないので、ここ1週間ばかりは一緒には寝ているが、本当の意味で眠っているだけだ。
だから疲れは取れるはずなのだが、取れないどころかますますひどくなっていき、熱っぽい気すらしてきた。

それをスペインが心配しないはずもない。

いつもは朝食はたっぷり取る派のイギリスが胃のムカつきを理由に朝食を食べられなかった時点で、ここ数日何回も繰り返している言葉をまた繰り返した。

当たり前だがイギリスは国なので、普通の医者にはかかれないし、薬も飲めない。
なので、医者にかかるとなると事情を知っている国の上層部への報告が必須になるし、それはそれは大事になるので、出来れば避けたい。

となると…

「あ~うん…じゃあとりあえず妖精さんに診てもらう。
大丈夫だからお前は仕事行ってこい。」

今日はスペインの経済についてドイツとの大事な二国間会議だ。
普通の仕事ならサボるところだが、これだけは出なければ下手をすればスペインまで体調を崩しかねない。

「しゃあない。行ってくるけど安静にしとるんやで?
もし自国の方で大げさになるのが嫌やったら、うちの国の俺の医者にかかったらええわ。
帰ってまだ体調悪かったらそうしような。」

スペインはイギリスの髪をクシャクシャっとなでると、部屋を出る。

そしてリビングの窓の側の小さなテーブルにミルクとお菓子を置いて
「アーティーの事くれぐれもよろしゅうな?」
と、自分には見えないイギリスの古い友人達に手を合わせて家を出た。


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