Me alegro de que estás vivo._1

「ねえ、スペイン。なんで今日なの?」

多くの国々は建国記念日を誕生日として祝う。
祝い方は国それぞれだが、スペインは毎年自宅に友人達を招いて飲み食いして騒いでいた。
招待状なり口頭なりでひにちと時間を告げられて、当たり前に何の疑問も感じずにいたわけだが、今、この瞬間、フランスは唐突に疑問を感じた。

だってスペインの建国記念日は10月12日だ。
公けの祝い事もその日にしている。
もちろん何を持って誕生日にするかというのも国それぞれだろうし、個人で祝う誕生日が必ずしも建国記念日でなければならないという事もないだろうが、スペインの歴史を改めて思い出してみても、2月12日に何か特別な事が起こったという事はないように思う。

歴史上、おそらくロマーノに次いでくらいスペインと長く深く関わっている気がする自分ですら知らない、そこまで重要な出来事があったのだろうか?
「あ…そう言えばそうだよな。」
と、隣でフランスが土産に持ってきた高級フランスワインを飲んでいたロマーノも今更ながら気づいた、という風に、不思議そうに問うような視線をスペインに向けている。

そうなってみると、ますます謎である。

「え?ロマーノも知らないの?」
との言葉にうなづくロマーノ。

そして、
「確か…俺がスペインの家に来た時には、誕生日とか大げさな事はしなかったけど、その日は絶対に仕事休んで、貧乏な頃もちっと贅沢な食事だった気がすんな…。」
と、視線だけを天井に向けて、ん~っと考え込む。

「なに?そんな頃からなの?え?え?お兄さん気になるんだけどっ!
スペイン、今日ってお前にとって何があった日なの?!」
とスペインに詰め寄るフランスに、スペインは

「自分にだけは教えたらん。」
と、きっぱりと言い切って、
「ちょお親分酔い覚ましてくるわ。」
と、すでに誰が主役だかわからない宴会場と化したリビングから出ていった。





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