脱!フェイクっ!!
「カナ~、もうどないしよっ。親分めっちゃ緊張するわ~」
イギリスに双方の身内を呼んで引き合わせようと提案して、その顔合わせパーティが2日後に迫った日の朝、スペインが電話をしている相手はすっかり親しくなったカナダである。
双方の身内がくるパーティを控えて逃げ出せない…しかし、中1日あるのでイギリスが動揺から回復できるように…そういう理由でスペインが全てを打ち明けるXデーと決めたのが今日なのだ。
「くれぐれもイギリスさんを傷つけないようにお願いしますよ。」
と言うカナダに、もちろんそのつもりなんやけど…と返すスペインの声には勢いがない。
「アーティ悲観主義者やからなぁ…騙されてたっていう一点に関心が集中しそうで怖いわ~」
「自業自得です。
イギリスさんのメンタルのフォローはもちろんしますが、あなたとの関係についてのフォローはしませんからねっ。
三行半つきつけられないように頑張って下さいね」
にこやかに言うカナダに、
「カナちゃん、冷たいわ~」
と泣き真似をしてみせるスペイン。
まあ、そうはいうものの、イギリスは現段階でスペインとの生活をかなり気に入っているようでもあるし、スペイン自身について言うなら、イギリスに対しては、やり方は黒いかもしれないが最終的にイギリスを傷つけまい、大切にしようと言う姿勢は非常によく見て取れるので、結局イギリスが泣きついてきたらスペインの真意が伝わるように代弁をしてやることになるのだろうとカナダは思う。
「騙してた…という事を前面に出しちゃダメですよ?
あの人は結構ロマンティストですからね。
数百年来の片思いの気持ちが高じてという方向から攻めるのが正しいと思います。
大事なのは騙していたということではなく、好きで一緒にいたかったという事を強調することです。」
と、その前準備の一つ的にアドバイスを与えるカナダに、スペインは
「さすがカナちゃんっ!
アーティーの事よおわかっとるなぁ。
おおきにっ!頑張ってくるわっ!」
と、邪気のない様子で言って、電話を切った。
自業自得…と言われてもかれこれ数百年の片思いだ。
ここで失敗したからと言って諦められるわけもない。
かといって…騙したままでは前に進めない気がして、スペインは気を落ち着かせるためにカナダと電話しつつ、決意を固めた。
さあ…本番だ。
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