悪巧み？
「えっと…それは……」
カナダはさすがに心配に眉を潜めた。
「あ～言いたい事はわかるで？騙されてたって知ったら今の関係を喜んどるアーサーが悲しむ思うんやろ？」
自分だってそれは考えないでもなかった。
だからずっと黙って家族をやってきたのだ。
しかし英連邦の協力があれば、アーサーを必要以上に傷つけずに先に進める気がする。
「頼むわ。俺もしホンマの伴侶になれたなら、アーサーの事めっちゃ大事にするし、絶対に幸せにするっ。あ～、もちろん今でも大事にはしとるつもりなんやけどな…。
今以上にめちゃくちゃ大事にするわっ。
せやから協力したってっ！」
パン！と両手を合わせて頭を下げるスペインに、カナダは少し困ったように眉尻をさげた。
「アーサーさんを…傷つけるような計画ではないんですよね？」
と、確認すると、スペインは、もちろんやっ！と大きくうなづく。
「要はな…アーサーの家族と家族になりたいねん。
家族を大切にする奴やから、嫌がらへんやろ？
俺の方の身内とはもう引き合わせとって家族みたいなもんやから、今度は俺がアーサーの家族の家族になってつながりを強固にしたいんや。
その上で、万が一アーサーがそういう意味でまだ俺の事みれへんでも、家族というつながりで離れて行かへんようにしたいねん。
ずるいのは承知やけどな。
それだけどうしてもアーサーを好きでアーサーやないと嫌やって事で堪忍したって？」
「こすい…ですね」
苦笑するカナダに
「欲しいモンはなりふり構わず手ぇ伸ばさんとな」
と、スペインも笑う。
「俺な、こんなに腹割って話したのは自分が初めてやで？
もちろん中途半端に誤魔化そう思うても誤魔化せへん相手やっていうのもあるけどな、今までアーサーがツラいことの多い中でも壊れへんで俺が世界で1番好きなアーサーのままでおってくれたのは、1番辛い時、悲しい時にずっと側で支えてくれた自分のおかげやって思う取るから。
めっちゃ感謝しとる。
これはホンマやで？嘘やない。
せやから自分に言わへんことはあったとしても、嘘はつかへん。
神様に誓うて約束するわ。」
スペインはこれからの諸々の共犯者として選んだ若者の目を見て、そう誓った。
「これからもしかしたらアーサーには嘘つくことになることもあるかもしれん。
でもそれはあの子を傷つけへんように守るためだけやから。
自分かて実はそうやろ？
そうやなければ俺が嘘ついとるってわざわざ俺に言いに来んで、アーサーに言いに行っとるわな？
でももしこれで俺が何か企んどるって判断したかて、それアーサーに言わへんで、自分で何かアーサーを傷つけへんように画策するつもりやったやろ？」
確信を持っていたずらっぽく笑いながら確認すれば、カナダは珍しくバツの悪そうな顔をした。
自分が腹を割って話したのも初めてなら、彼のこんな顔をみた人間も初めてかもしれないとスペインは思った。
「絶対に幸せにしたる！せやからそのための共犯者、相談者になったって？
俺が傷つけへんように思うても実際傷つけてまう可能性もあるさかい、最近のあの子の事を長い間1番近くで見てきた自分やったら色々大丈夫かそうでないかわかるやろ？」
「…スペインさん……意外にずるい人ですよね…」
いつもの困ったような笑みを浮かべながらもそう言った時点で、カナダも了承したも同じだった。
「で？僕は何をすれば良いんです？」
「うん…それやけどな…」
こうして種類は違えどもイギリスをこよなく愛するAKY二人は、イギリスのお膝元、ロンドンのティールームで今後の目的は白いがやり方はやや黒い計画の段取りを練るのだった。
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