第一の殺人 (7~8日目)
今日でゲームを始めて一週間。
最近昼間から夜を心待ちにしてる自分がいる。
20時から24時なんてケチくさい制限つけないで、昼からやらせろよ~なんて考えつつ、テレビを流しながらボ~っと漫画をめくってても俺の頭の中は実はアオイでいっぱい。
ちょっと良いなって感じの子はいっぱいいて、あわよくば向こうから近づいてきてくれないかな~なんて思った事もいっぱいなわけなんだけど、こんなに日々相手の事考えてるなんてのは初めてだ。
なまじ癒し系と名高い姉貴の表と裏の顔なんて日々見てるとなんとなく女ってこんなもんだよな~、自分から行ってもて遊ばれんのもな~なんてズルズルときちゃったわけなんだけど、あのアオイの妙な不器用さはそんな女性不信入ってる俺でも信用せざるを得ないような気になるんだよな~。
んで、そういう面で安心しちゃうとまあ、俺だって結局は若い男なわけで…。
コウがリアルでの接触反対派で、なかなか切り出せないわけなんだけど、なんかきっかけないもんかな~なんて思ってたり…。
そして20時。
今日もほとんどアオイに会う為にログイン。
いつものようにコウも来てる。
「ちわっ。アオイ今日も早いねっ」
でもまあアオイへの挨拶が先。
「リダどっち?とりあえず誘ってよ」
と続いて言うと、珍しくアオイから来る誘い。
もちろん即入る俺。
あれ?コウパーティーにいないじゃん。
あ~もしかして…
『もしかして…コウと喧嘩中?』
と聞くと、アオイは
『…えっと……』
と口ごもる。
こうなったら聞き出せるまでが長いんだよな、アオイ。
コウに聞いた方が早いか。
『ちょっと待ってね』
とアオイに言って俺はコウにウィスを送った。
(ちわ~っす!もしかしてアオイと喧嘩中?アオイに聞いても要領得ないんだけど…)
俺の言葉にコウ即答。
(わからん)
まあ…いつもの事なんだけどね。
コウは俺の予想だと女の子慣れしてなくて…言葉に修飾つけない。
端的にして的確ってのは俺なんかだとわかりやすくていいなぁって思うけど、時として…特にアオイみたいなちょっと内向的な女の子には怖くきつく響くんだよな。
コウは全然悪気ないんだけど怒ってるように感じてアオイが引く、それが毎度のパターン。
今回もそれなのかね…。
まあそういう理由だったらコウにしてみたら本当に”わからん”なので、これはコウに聞いても無駄。
あ~やっぱりアオイから聞き出すしかないのか…。
なんだか長くなりそうだしどうすっかなぁ~。
まあ…コウはお姫様に預けるか~。
(まあこのままじゃ埒あかんし、アオイから頑張って聞き出してみるから、その間姫よろっ)
いつものパターン。
お姫様は…なまじっかやんごとなさすぎて他の人間の言う事や気持ちなんて”苦しゅうない”なんで、コウのそういう所も全然平気なんだよな。
普段はその天然っぷりで周りを振り回してくれて大変は大変なんだけど、こういう時は便利だ。
『おっけぃ、じゃあいこっか』
と、俺はコウとの交渉を済ませると、街中に向かって歩き始めた。
アオイは当然
『…え?』
とポカ~ンとする。そこで俺が
『コウに姫よろしくって言っておいたから。今日は二人で街中まわろっか。
アオイ、ゲーム始めてすぐ外に特攻組でしょ?街も結構広いんだよ』
と説明すると、ホッとした様にうなづいて追いかけてきた。
アオイはそのキャラの外見とは裏腹に良くも悪くも女の子。感情的なんだよね。
たぶんコウとコウのきつい言葉でもめてるとしたら、今頃リアルで涙目でパニくってる気がする。
だから少し落ち着く時間をあげないとなんだけど、黙ってその辺で待ってると待たしてる事でまたモンモンとプレッシャーって困った子なんで、俺は素知らぬふりで街の観光案内。アオイが落ち着くのを待つ。
まあ…俺はいつも最後方でパーティーのフォローだからたまにはこうやって自分が先に歩いて、アオイがその後をトテトテとってのも個人的には悪くはない。
つか、リアルでそういうのやりて~な~。
アオイは彼氏いんのかな?
コウがあれだけリアル露見やばいって脅かしたあとだから、そんな事聞いたら思い切り引かれるの目に見えてるわけだけど…。
たぶん…嫌われてはない…っつ~か、結構頼られてはいるよな?俺。
最初の頃に無駄に街を歩き回ってたおかげで、たぶん俺は街中だけは詳しい。
景色のきれいな場所とか知っておくと微妙に便利な道とか、そんな所を案内しながら最奥の教会を目指した。
そして教会到着。
このゲームの光の神イルスを奉ってて、普通の教会みたいに長椅子があり、座って祈れるような感じになっている、女の子ウケが思い切り良さげでしかも静かに話が出来る場所の5指にはいるような場所だ。
『座ろっか(^^』
と俺が勧めてまず自分が座ると、アオイも俺の隣に座る。
まあ…コウと分かれて20分ほどか…
『そろそろ落ち着いた?(^^』
と聞いてみると、アオイはコクリとうなづいた。
とりあえず自己申告を信じる事にして、俺は話を進めた。
『コウが…何かきつい事でも言ったかな?また(^^;』
もちろん
『話したくない部分は話さないでもいいけどね』
と言うのも忘れない。
アオイは葛藤多いから、その一言がないと”話したくない、でも話さないとだめ?”みたいな気持ちの狭間で揺れて沈黙が増え、話が先に進まない。
まあそのあたりが多少面倒と思わなくはないけど、それでも何でも相手のせいにして思った事全てズケズケ口にするうちの姉貴とかよりよっぽど可愛い。
そんな俺の言葉にアオイはポツリポツリと話し始めた。
『えっとね…前さ…ユート来る前にゴッドセイバーがリアル情報通常会話で垂れ流してた事あったでしょ…』
『あ~、それでコウがリアル漏らすなとか説教してたよね、アオイに』
いきなり過去に飛ぶ話題に、それでもその頃を思い出して合いの手を入れる俺。
それにアオイがまたコクリとうなづく。
『その時にね…そこにいた私達の耳にも聞くともなしにゴッドセイバーの本名とか高校とかがはいってきちゃったのね。』
『うんうん』
『で、今日…お昼のニュースで高校生が殺害された~みたいなのがあって…その殺害された高校生がゴッドセイバーだってわかったの。犯人は目撃者によると若い男で…でも後ろ姿だけだったから特定できないって…』
うげ…まじか…。
ちょっと待てよ…え~っとそれって…今回の事件絡みだったり?
考えろ…考えるんだっ悠人!
このゲーム…賞金1億だよな。
んでもって…まあ俺みたいに初っぱなから諦めてる奴ばかりじゃなくて、本気で取りにきてる奴もいる…。
そんな時にリアル情報垂れ流してる馬鹿発見。こいつ死ねばライバル一人へってラッキー。
んでもって…目撃された若い男=全員高校生のこのゲームの参加者の一人…おしっ、状況把握終了!
たぶんそんなとこだっ!それ以上はコウに任せよう!
一瞬アオイの言葉が途切れた間に一生懸命考える俺。
そんな俺に気付かず、アオイはさらに進める。
『でね、ゴッドセイバーが殺された理由ってこのゲームなのかな~とか思ったら私怖くなっちゃってね…』
やばい…アオイ可愛い。
つか、この状況で怯えるアオイに萌えてる場合じゃないんだが…まあ悲しい生き物だよな、男って…。
そんな俺の葛藤には当然気付かず続けるアオイ。
『すごくすごく皆に会いたくて、8時になるの今日ほど待ち遠しかった日はなかったのね。』
あ~くそ!今日早めにインすれば良かった!そしたら怯えるアオイ慰めてそこから…という俺の悔恨も当然気付かず…(ry
『で、インしたらコウいて、”今回の殺人てこのゲームが原因だよね”って言ったら、”そうだな”って』
まあ…そう反応するしかないよな…
『んで、私よく宝くじ当たった人が殺されちゃうみたいにゴッドセイバーが1億もらえるってあちこちに言いふらしてて殺されたのかと思ったんだ。
でもコウが宝くじの場合は大金を手にしたから殺されるわけで、このゲームの場合はもらえる確率12分の1だしまだ手にできるって確定してるわけでもないんだからそんな理由で身近な人間殺す奴はいないって…。』
……え~っとアオイさん…ゲームが原因という所までたどりついていながら、一般人に殺されたと思ってましたか…そうですか…
いかん…その肝心なところで大幅に核心からずれてくれるお馬鹿さんなところがめちゃ可愛いと思ってる俺がいるっ。…重症だ…。
『それ聞いて私も”あ、そっか。”って思ったんだけどそこでコウがいきなり”お前な…脳みそ使わなさすぎて腐らせる前に、次の犠牲者として川に浮かぶなよ…”って(;_;)』
うっあ~もうコウらしいっつ~か…。あいつもいい加減学習しろよ。
言いたい事はわかる、わかるんだけどさ…。
『そっか…不安だったよね、アオイ』
何から説明しようかな~と迷いながらも、コウの台詞を思い出してちょっと感情が昂ってきたっぽいアオイにまずフォローをいれる。
『コウもなぁ…すごく良い奴なんだけどね…』
リアルでため息をつく俺。
そう…コウはマジいい奴なんだ。馬鹿なだけで……
『コウってさ、すごく頭良くて物理的な事柄ってのがよく見えてるんだよね。
でも自分に見えてる物が見えてない人もいるって事をたぶん理解できてない。
だからどうしても説明不足になるんだ。
俺らが最初に会った時もそうだったでしょ。(^^;』
頭はいい。たぶん秀才なんだろう。
ただ…自分が特に頭いいだけで、皆が皆自分並みに頭よいわけじゃないんだってのをわかってない。
『コウにしてみれば後衛守るなんて当たり前で、知らなくてそれをやってなかった俺らが無責任に見えて罵ったんだけどさ、見ず知らずの姫をちゃんと助けてくれたり帰れない俺らをちゃんと守って送ってくれようとしたでしょ…。
このゲームの目的を考えたらあり得ないくらい良い奴だよ?』
最初お姫様を助けてくれた時は単に女に良い格好したいだけの奴なのかと思ったけど、その後わかった。
あの時絡まれて死にかけてたのが俺だったとしても、迷わず助けてくれてる。
目の前で他の奴が困ってる、単にそれだけの理由で手を差し伸べられる稀有なお人好しなんだ、奴は。
『ゲームの目的?』
案の定…状況が見えてないアオイに俺は説明した。
『あのね…アオイは単にゲームを楽しめれば良いって思ってるのかもしれないけど、一応ね、このゲームの最終目標ってさ魔王を倒して1億もらう事なのね。
もらえるのって一人だけだからさ、一億欲しいなら他のプレイヤーを強くしちゃ駄目な訳。
だから…俺らを追い落とす事に意味はあっても、見ず知らずの俺らを助ける義理なんてあの時のコウにはこれっぽっちもなかったんだよ。
まだ仲間にもなってなかったし、あのまま送ってバイバイする予定だったからね。
損得で言うなら仲間にするにしたって、コウは強いジョブやってるしレベルも高いから、俺らはコウいたら助かるけど、コウからすれば戦闘であまり役にたたない俺らがいても美味しい事ないと思うよ。
せいぜい姫いたら回復あって楽かもだけど、プリーストならもう一人ゲーム慣れしてるっぽい男のプリーストいるしね。』
あの時はむかついたけど、イヴの言う事は正しい。
損得考えたらマジ、コウは俺らと一緒にいるメリットはない。
単なるゲームだったらまだしも一億かかってて、それ狙える位置にいて、でも足手まといにしかならない俺らのためにそれ捨ててるわけだから…もう上に馬鹿がつくお人好し。
感謝とかは本人も望んでないだろうし俺もしようとは思わんし他にもしろとは思わんのだけど、言葉悪くて誤解されやすいだけで善意の人間だって事だけはさすがにわかってやらないと、ちと気の毒な気がする。
『で、本題なんだけどね、言い方悪いんだけどね、コウはたぶんアオイをすごく心配してて、注意しようとしたんだと思うよ。』
『あれで…?』
さらに続ける俺にアオイが疑惑の眼差し。
『たぶん…アオイ気付いてなかっただろうけど、以前コウがリアル明かしたらすごい危ないって注意してくれたでしょ、あの時コウは今回の殺人事件みたいな事が起こる可能性も考えて注意してたんだと思う。』
過去形じゃなくて…なんで今回の事件が起こってるか今も気付いてないに一票。
『一億ってね、すごい大金なんだよ。何をしてもそれこそ人を殺しても確実に自分の物にしたいって参加者が出てきてもおかしくないくらいにね…。』
ここまで言ってようやくアオイは事態に気付いたようだ。
『そ…それって…まさか?』
と絶句する。
『うん…。今回の殺人事件の犯人…一億円を手にしたいゲームの参加者なんじゃないかってコウは考えてるんだと思う。俺もそう思うけどね…。』
まあ…俺は今アオイから話きいて初めて思ったのは内緒。
『だからコウにしてみたら全然危機感持ってないように見えるアオイがじれったいし心配だったんだと思う。
ようは…え~っと…脳みそ腐らせる前に川に浮かぶぞって言うコウ語を翻訳すると…
ちゃんと考えないで無防備に行動してると、参加者の中に潜んでる殺人犯に殺される危険があるから気をつけろよって…まあ、そんな感じ?
あくまで好意の一言だったんだよ、そうは聞こえないかもだけど…』
そこでようやく全容が見えたらしいアオイは
『なんか……いきなり怒ってコウに悪い事しちゃった…。』
と、いきなり沈み込む。
うあ…失敗したか。コウの人物説明を補足するつもりだったんだけど、ちと言いすぎた。
『でもまあ…わざわざああいう言い方するコウも悪いけどね。』
と、フォローをいれる。
まあこれも本音。頭はいいんだからいい加減そのあたり学べよとマジ思う。
ま、それでもなんとかアオイの気持ちも収まって落ち着いたところでコウ達と合流。
アオイだけに言うのも不公平なんで、コウの方にも
『コウ、今回はコウが悪い。
自分が本当に殺されるかもって時にあんな事言われたら本気で怖くなってパニック起こすよ?
言いたい事はわかるんだけど、それこそ相手は女の子なんだからさ、言い方考えてあげないと忠告してあげてるつもりでも逆効果だよ。』
と、チクっと釘を刺しておく。
もちろん、コウは悪気はかけらもない奴なんで、それに対してあっさりと
『…悪かった』
と即謝罪の言葉を述べた。
その後それでも殺人がこのゲームの賞金が原因で起こってるってことは、これからもこういう事が起きる可能性大だし、自分が犠牲者にならないために注意すべき点というのをコウが事細かに注意していく。
『とりあえず…以前も言ったけど絶対にリアルの身元割れるような話は口にするなよ。
住所とか名前はもちろんだが、最寄り駅とか、よく遊びにいく場所とか、直接関係なさそうな情報も、いくつか集まれば範囲絞り込まれたりするからな。
あと周りにもこのゲームの話もするなよ。
全然関係ないあたりでも、そこからまわりまわってとんでもない所に情報流れたりするからな。
あとはそこまで馬鹿じゃないとは思うが主催とかを名乗る奴から呼び出しとか受けても慌てて飛び出すなよ。
自分から会社の方へちゃんと確認いれろ。』
ま~、よく思いつくな。この他にも山ほどの具体的な注意を並べるコウ。
なんつ~か…いつも思うんだけどこいつ本気でなにもんよ?
そうしてるうちに、いきなりゲーム内だけで見られるメールにあたる物、メッセージが来た。
送信者は…メグ。どんな奴だっけ………思い出せない。
とりあえず開いてみる
『こんばんは。参加者の一人、ウィザードのメグです。
このメッセージは全員に送っています。
知らない方もいるかもしれませんが、今日同じく参加者の一人だったゴッドセイバー君が誰かに殺されました。
原因は断言はできませんけど、このゲーム絡みの可能性が高いと思います。
もしそうだとすると今後残った参加者にも危険が及ぶ可能性は充分あると思います。
そこで皆さん、20時~24時以外でも情報交換等ができるようにメールアドレスを交換しあいませんか?
了承して下さる方は私までメッセージでメルアドを送って下さい。
一応明日21時までにメルアドを教えて下さった方には、私を含めた送って下さった方々全員のメルアドをお送りします。』
『メッセ…来たか?』
しばらく全員メッセージに目を通してたらしく無言だったけど、コウが最初に沈黙を破った。
『うん、俺んとこは来てる』
『私の所にもきてます。』
『私のとこも…』
全員に送ってるって言うのはホントらしい。
『やっぱ…これもダメ…なの?』
アオイが恐る恐るお伺いをたてる。
個人情報は教えちゃ駄目って言うコウの事だから、反対なんだろうなぁ…。
でもアオイのメルアドまじ知りたいっ。
他の奴のはどうでもいいから…っていったら余計に反対されそうだから黙っとく。
ところがてっきりやめとけって答えを返してくると思ってたコウは、あっさり期待を裏切ってくれた。
『ん~、これはいい。』
『ええ??さっきまで個人情報駄目っていってたじゃん』
思わず言い返すアオイに、コウはただし…と付け足した。
『携帯とか普段使ってるメルアドは教えるなよ。適当なフリーメールとかでこのゲーム関係の連絡用にしか使わないいつでも捨てられるようなメルアド取っておけ。いわゆる捨てアドって奴な。
情報交換や連絡だけならこのゲームやってる間だけだし、それで充分。
あ、当たり前だけどメルアドに自分の名前もじっていれるような真似はするなよ。』
なるほど…。
まあ他はともかく念願のアオイのメルアドげっとだぜ♪
なんでもないのにメールとか送ったら引かれるかな~。
考えてみれば俺、自分の方から積極的にメールとか送った事ないや。
『って事で今日ログアウトしたら全員捨てアド用意して、明日こいつのところに連絡な。
で、一応こいつからメルアド書いたメッセきたら、ちゃんとホントにメルアド配ってんのか4人で自分のメルアド言って確認するぞ。』
おっけ~、おっけ~いくらでも取るっ。
その日はそれからログアウトすると、すぐ適当なフリーメールのメルアドを取った。
そして翌日、そのメルアドをメグの所に送る。
んで、4人でレベルあげには出かけずに締め切りの21時を待った。
30分後…メグからまたメッセージが送られてくる。
それを開くと、9人分のメルアドと共にメグからの結果報告。
『こんばんは。今回は私の提案に賛同して頂いてありがとうございます。
8人の皆さんが送って下さったので、私のを合わせて9人分のメルアドを送らせてもらいます。
一応21時を待って返答の無かったショウさん、ヨイチさんに声をかけてみたのですがショウさんは今回の事で怖くなったのでゲーム自体をやめるから参加しないとの事でヨイチさんは全く無反応なので、参加の意志なしと考えさせてもらうことにしました。
一応間違いないとは思うのですが、各自ご自身のメルアドを確認の上、間違いがありましたらメグまでまたメッセージをお願いします。』
とりあえずメグのメッセージに目を通して、4人でそれぞれ自分のメルアドを確認した。
俺ら4人に関しては確かに全員のメルアドが正しく記載されてるので、ひとまず目的達成!
おっしゃ~!アオイのメルアド~!
『でも…さ…』
とりあえずメルアドを確認し終わったところで、アオイがいきなり言いだした。
『こんな事件起こってるわけだし、ショウみたいにやめるっていうのも一つの選択だよね…』
うっあああ~~~それはないっ!
ゲームやめられたらマジもう接点ないじゃん、俺ら。
アオイの言葉に焦る俺。
その後の経過…みたいなのメールで知らせてそれきっかけに…とか無理?
…でもこのゲームの為に取ったアドレスならやめたら見なくなる?
色々俺が考えてると、コウがため息一つ。
『お前さ…バ』
多分次に絶対”カ”って続けたかったんだと思う。
でもさすがに昨日の今日で反省はしてるのか、その言葉は飲み込んだらしい。
『えと…な、それ無駄。』
と、あらためて言った。
『なんで?やめちゃえば一億もらう権利もないわけだし殺す必要ないでしょ?』
『やめられれば…な。でもこれってある意味やめられないからな。』
『…?』
コウがわかってないな、とまたため息をついた。
『最初の主催からの手紙であっただろ。
一度やめても再開可能でディスク紛失したり破損してもまた送るって。
つまりな、本人がやめたつもりでも実際はエントリーされてる状態なわけだ。
だから犯人から見るといつまたライバルになるかわからない相手なわけだ。消す対象からは外れない。』
あ~そんな事書いてあったっけ。なるほど!
『どうすれば…いいの?』
心細げに言うアオイ。
とりあえずゲームをやめるという選択は消えたらしい。
ホッとする俺。
でかしたコウ!
『まあ…犯人が捕まるか誰かが魔王倒して一億手にするかだな。
とりあえず騙されて自分のリアル明かしたり誘い出されたりしないように気をつけてれば大丈夫だろ。』
と、コウはあっさり言う。
その言葉にもアオイは不安げだ。けど、おれは確信あるわけじゃないんだけどさ…なんとなくコウの言う事聞いてれば安全、そんな気がしてそれほど深刻な気はしなかった。
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