ギル&アーティのとある誕生日の光景3

「グーテンモルゲン、アルト」

その様子が可愛すぎて小さく笑いながらギルベルトがそう言うと、半分寝ぼけ眼だったアーサーは大きな目をきょとんとまるくして、それで今の状況に気づいたのだろう。
ぱぁああ~~っと赤くなって、ワタワタと慌て始めた。

「あ、あのっ、おれっ、おれっ、…ギルの誕生日だから…だからっ……」
慌て過ぎて大きな丸い目からころんと涙が溢れ出る。

そして最終的には
「せっかくちゃんとお祝いしようと思って…思ってたのに……」
と、ぎゅっと抱きしめた袋に顔をうずめて泣き始めてしまった。


ああ、もう自分の恋人はどこまで可愛いんだろう…と、ギルベルトは胸が熱くなる。

「アルト…ダンケ。夜中に1人でこんなに大変だっただろ?
すっげえ嬉しい。
今この袋開けて見て、俺様今年は天使をプレゼントにもらったのかと思っちまったぜ。
まあ、同じようなもんだけどな。
俺様のアルトは世界で一番可愛いし、見てるだけで人類幸せにできるからな」

ケセセっと笑いながら敢えて明るくそう言うと、ギルベルトはアーサーを袋の中から助け出して抱きしめた。

それでも腕の中でくすん、くすんと泣いている恋人に、

「んじゃ、プレゼントにもらったわけだし、アルトは俺様のモンてことで、あとで名札買いに行こうぜ。
俺様のとしてのアルトになった今日がこれからはアルトにとっても誕生日な?」

と、額にキス。

びっくり眼で見あげてくる天使をもう一度抱きしめると、ギルベルトは
「飯作ってくるな~」
と、おそらく食材は揃えてあるんだろうなと思ってキッチンに。

するとキッチンのテーブルに並ぶ御馳走の数々に驚かされる。

「あ…それはフランが……」
と慌てて追って来たアーサーの言葉で納得した。

なるほど。
このイベント自体が悪友と…おそらくエリザあたりも関わった合作か。

おそらく料理はフラン。
酒はトーニョ。

アーサーがプレゼントの袋から出てくるのも、その際にアーサーが実にギルベルト好みの清楚ながらも可愛らしい服を着ていたのも、エリザあたりの入れ知恵だ。
奴はギルベルトの好みを知りつくしている。
それはそれは恐ろしいほどに……


Before <<<   >>> Next (12月29日公開予定)


0 件のコメント :

コメントを投稿